総 説射撃教育とは砲戦において射撃に関する種々の要求に応じ得るように将校及び下士卒を教育訓練することを言います。 とは言っても、そもそも一艦において砲戦に関わる人員はその乗員の大部分を占め、艦内各方面にわたって様々な業務に就きますので、これら全体を同時かつ一斉に教育訓練することは不可能なことであるばかりでなく、また教育の本来のあり方からしても、まず初歩から入り順次複雑・高度なものへと進むまなければなりません。 したがって射撃教育もまたこの要領に則って、先ず初歩的教育によって各部を訓練し、その基礎が確立できてから各部協同動作の訓練に入り、これにより戦闘の要求に応じられるようにしなければなりません。 このため、旧海軍においてはこの射撃教育を次の5つの基本教育に分けて行うこととしていました。 この5つの基本教育が歩調を合わせて進歩しなければ全体の協同動作を完全にすることは出来ないものであり、どれかに重きを置き、あるいはどれかを簡易なものとするようなことができるようなものでもありません。 しかしながら、人にとっては入りやすいものと入りにくいもの、あるいは練達が早いものと遅いものがあることは否めません。 したがって、一般的に幹部及び操砲部の教育に重点を置くのは、この2つが他に比して熟練の域に到達することが容易ではないことによるものです。 初版公開 : 22/Apr/2018 |