飛行機観測の利用




   1.初弾に対する修正
   2.本射中の修正 (1) −本射第1弾が初弾と同方位弾の場合
   3.本射中の修正 (2) −本射第1弾が初弾と反方位弾の場合
   4.本射中の修正 (3) −初弾夾叉で本射第1弾が偏弾の場合
   5.本射中の修正 (4) −本射中に弾着が一方位に偏した場合
   6.本射中の修正 (5) −打消修正  ← 現在の頁
   7.修正法の具体例




6.本射中の修正(4) −打消修正


本射中に修正弾の弾着前に夾叉弾を得た時には、元の修正量と同量の打消修正 を行います。


この場合において、前後の距間差lは誤測変距量、射心移動、観測誤差、及び第2弾の射心標心距離の合併誤差ですから、誤測変距量の最確値 (E)、第2弾の射心標心距離の最確値 (D)、及び修正量 (L) は、次の式で表されます。




一例として、大口径砲、射距離 30000m の場合についての x(t/t)−D を求めると次の様になります。


観測距間量 200 300 500
時隔 (t 20 −28 −37 −46
40 +52 +66 +86


この表の値から判断すると、修正量は元の修正量と同量とすることが適当であると言えます。



また、本射中に修正弾の弾着前に反方位弾を得た時は、元の修正量に距間量を加えたもので打消修正 します。


この場合において、両斉射の照尺差は 0 で、距間差は l+l ですから、誤測変距量の最確値 (E)、第2弾の観測誤差の最確値 (Δl、第2弾の射心移動量の最確値 (S)、及び修正量 (L) は、次の式で表されます。




同様に一例として、大口径砲、射距離30000m、t2=60秒、r1=70、r2=4kt の場合についての −(Δl−S+Ex (t/t を求めると次の様になります。


200 300 500
時隔 (t 20 200 102  96  86
300 −32 −31 −26
40 200 282 294 305
300 213 217 214
500   8   6  13


上の表から、時隔が小さい場合には、元の修正量に距間量を加えた修正を行うのが適当であることが分かります。

しかしながら、時隔 (t) が大きくなるとこれでは不足してきます。 したがって、この場合には 時隔に応じて修正量に 300〜500 程度を加えることがより合理的 であると言えます。



上記の2つの場合以外において、各弾着についての航空機からの通報距間量に多少の変動があっても、これに対する追加・打消修正は行わないのが一般的です。

これは、そのような変動に一々修正を行っていては毎斉射修正弾となってしまい、射弾指導が複雑となり錯誤が生じる原因となるからです。



ただし、その様な通報距間量の不規則な変動ではなく、修正弾の弾着以前の弾着の偏倚量が増加あるいは減少する様な傾向が生じた時には、機上観測精度、射心移動、変距誤測などを考慮して、状況により追加あるいは打消の修正を行わなければならない場合があります。

例えば次の様な経過となる場合には変距誤測があることが明らかですので、追加修正を行う必要があると同時に、調定変距の改定を行わなければなりません。








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最終更新 : 05/Jun/2015







水上射撃の射法理論

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