飛行機観測の精度



 旧海軍における飛行機観測データ


少し古い戦前のデータですが、昭和4年〜6年度の観測成績として、次の様なものが残されています。


 側方観測による弾着中心 100 以内 101〜200 201〜300 301〜400 401〜500 501〜600 601〜700 701〜800
 調査数 12 46 41 12 16 11 11
 距間を小さく観測した回数 18 24 12
 距間を大きく観測した回数 22 17
 平均観測点(対側方) −23 +17.5 −10 −35 −97 −148 −88 −340
 平均剰余 ( Σ|υ|/n )  63.3 62.5 79.8 75 102.4 133.2 158 80


このデータによれば、距間を小さく観測する回数がやや多く、しかもその距間量は距間が大きくなるに連れて漸次増大する傾向を示しており、また平均剰余 (これを誤差と見なすことも出来ます) も距間が大きくなるとともに増大することが判ります。



 飛行機観測の精度


(1) 項のデータを基にして観測誤差が生起する状況をグラフにしますと下図の様になり、正規分布とはなりません。



したがって、この観測誤差を公算誤差で表すことはできないことになりますが、現実問題として起こり得べき誤差付近に範囲を限定して考えるならば大差はありませんので、便宜上公算誤差を使用することとします。

また、(1) 項のデータにおける平均観測点の側方観測点 (これは正確な値であると見なすことができます) に対する偏差は、観測値に対する固有誤差と見なし、常にこの固有誤差を修正してやると、残りが観測公誤によって観測誤差が生じるという見方ができます。

よって、この方法で飛行機観測の精度を表すと、次の様になります。


 航空機の観測値 200以下 200台 300台 400台 500台 600台 700以上
 固有誤差として修正すべき量  +50 +100 +150 +200 +250 +250
 修正後の観測値の公誤 55 70 80 100 125 155 L/5

  (注) :  L は固有誤差を修正した距間量


例えば観測値が 350mならば、修正値 +100ですから、450±80mが実際の距間量であったと見なすことができます。







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最終更新 : 23/May/2015







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