4.初弾が偏位弾の場合に修正弾が同方位弾とならないための修正量とその公算先の 「始めに」 で説明しましたように、試射は基本的には “目標を捕捉する” ことを手段として適正照尺を把握しますので、初弾が全近 (全遠) の場合に、次の修正弾が同方位弾とならないようにすることが重要となります。 しかしながら、かといって 100% の公算でそれを意図することは試射の本旨に反します。 言い換えれば、捕捉濶度以上の大きな修正をして目標を捕捉しても、その中間照尺をもってしては夾叉弾とならない可能性が大きくなると言うことです。 それでは、その修正弾が同方位弾とならない公算がどれくらいであればいいのでしょうか? 旧海軍においては、この公算が 90%以上 であることを要件としていましたが、時と状況によっては 80% 以上あれば可とすることもあったようです。 一般的に言って、第2照尺 (初弾に対する修正弾の照尺) が、夾叉又は反方位弾となる (=同方位弾とならない) 公算は、第2照尺までの目標存在公算よりやや大きいと判断できます。 (例) : 大口径砲で射距離 X=150 において、その濶度を 500 とすれば、目標がこの濶度以内にあると考えられる公算は 83% になります。 この時、変距誤測公誤を 3 とすると、第2照尺の弾着が同方位弾とならない公算は 86% (n=4)、88% (n=6) となります。 したがって、目標存在公算が 90%になる様な修正量 (濶度) に第2照尺を選ぶならば、これによって同方位弾とならない公算は 90%以上になると言えます。 このことから、前項の目標存在公算によって、90%以上の目標存在公算となる濶度を求めると、次の表の様になります。
最終更新 : 25/May/2015 |