転舵に対する修正法




   1.自艦変針に対する距離修正
   2.目標変針に対する距離修正
   3.自艦変針に対する苗頭修正  ← 現在の頁
   4.目標変針に対する苗頭修正




3.自艦変針に対する苗頭修正


自艦の変針によって左右偏弾を生じる原因は次の3つです。


  (1) 艦の傾斜に伴う砲尾軸の傾斜
  (2) 方向角の変化及び速力低減に伴う自速苗頭の変化
  (3) 照準困難による射心移動



(1) 砲尾軸傾斜による左右偏差


砲尾軸傾斜によって生じる左右偏差は、次の式によって求められます。




この砲尾軸傾斜による誤差は、砲 (砲塔) に動揺修正装置を装備することにより自動的に修正することもできますが、一般的には射撃指揮装置によって発砲諸元を補正する形で修正することになります。



(2) 方向角変化及び速力低減による自速苗頭の変化


自艦転舵による方向角の変化及び速力低減に伴う自速苗頭の変化は、射撃盤において機械的に修正することができますが、その他の艦では次の様にして修正する必要があります。


連測苗頭法の場合 :

   苗頭の測定費消時に対する方向角の変化量を見越して苗頭測定を行う。


全量苗頭法の場合 :

   予め原針路と新針路に対する苗頭量の差を算定しておき、転舵に際してこれを1回又は2回に分けて修正する。



一例として、40cm砲、射距離 25000m、自速 20kt、右砲戦の場合の修正量は次の様になります。


現方向角 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140



 20° R 2.9 R 2.3 R 1.5 R 0.8 0 L 0.8 L 1.5 L 2.3 L 2.9    
 40° R 4.5 R 3.0 R 1.5 0 L 1.5 L 3.0 L 4.5        

 20°     L 2.9 L 2.3 L 1.5 L 0.8 0 R 0.8 R 1.5 R 2.3 R 2.9
 40°         L 4.5 L 3.0 L 1.5 0 R 1.5 R 3.0 R 4.5


左砲戦の場合は、修正方向が反対になる他はこの表の値に同じです。

この修正法による真苗頭と使用苗頭の経過は、次図のとおりとなります。








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最終更新 : 05/Jun/2015







水上射撃の射法理論

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