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対空射法 (2) |
「射撃盤射法」 の概念
旧海軍における射撃盤射法は、昭和12年改訂の 「艦砲射撃教範」 において、次のとおり規定されています。
射撃盤を使用する射撃は、高さ、距離及び上下・左右方向の変角率を射撃盤に調定し、これにより機械的に刻々の照尺量を求め、行うものである。
変角率は目標の一定時間 (10秒若しくは5秒) に移動する分画、又は一定分画 (上下10分画、左右50分画) を移動するに要する秒時を以て測定する。 而して、変角率小なるときは前者により、大なるときは後者によるを可とする。
照尺距離は、測距誤差に応じ段階的に変更するを例とする。 この場合、照尺変更量は測距平均誤差の2倍を以て標準とする。 而して、測距誤差小若しくは大なる場合に在りても、頻繁なる照尺改調を避け、一般に同一照尺にて概ね3斉射発射し得る如く変更量を定める。
即ち、この射撃盤射法とは、本格的な対空射撃用の射撃指揮装置を持たず、従来の水上射撃用の平射射撃盤に高射機能を付加したものをもって対空射撃を実施する場合 の射法です。
したがって、教範改訂当時のように、航空機の速力も遅く、変角率の測定を、一区切り一区切り行っても間に合うような状況ならばともかく、今次大戦が始まって以降のような高速かつ多数機を対象とする複雑な対空戦の様相下では、この射法が実用に耐えられるものではないことは明らかとなりました。
とは言え、例えば、中〜大口径砲で 三式焼霰弾 (仮称三式通常弾) などを用いて対空射撃を実施する場合 には、その装備する射撃指揮装置の関係上、この射法によらざるを得なかったことも事実です。
最終更新 : 17/May/2015
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