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対空射法 (1) |
「高射器射法」 の概念
旧海軍における高射器射法は昭和12年改訂の 「艦砲射撃教範」 において、次のとおり規定されています。
高射器を使用する射撃は、連続測距及び保続照準により変距並びに変角率を求め、刻々所要の信管秒時、射角、旋回角を自動的に算出し、これを電気的に砲側に伝え、行うものである。
そして、戦時中の対空用射撃指揮装置の発達と対空戦闘様相の変化により、更にこれを細分化し、詳細に決める必要が出てきました。 即ち、それぞれの高射器が使用する基準測的諸元によって、距離射法 と 高度射法 との2つに分類されるものです。
この内、高射器距離射法 は、更に次の3つに分類されます。
距離連測射法 |
刻々測定する距離を、現在距離として計算装置に入れて発砲諸元を計出するもので、高射器本来の使用目的に最も合った射法 |
距離散布射法 |
測距誤差をカバーするため、測距距離にある範囲の散布を加えたものを現在距離として計算装置に入れて発砲諸元を計出するものですが、現実的には一連の射撃で数斉射しか発射できない状況においては、
理論的にはともかく実施は極めて困難 |
距離極限射法 |
測距誤差をカバーするため、測定距離より (目標が近対勢の時は) 近方向の距離を現在距離として計算装置に入れて発砲諸元を計出し、適当な時機にその使用する距離を段階的に変更する射法 |
これらを概念的に図示すれば、次のようになります。
また、高射器高度射法 は、距離射法における測定距離に換わり、目標の高度データを使用するもので、未来位置計出機構が高度を基準として求められる指揮兵器に適用されるものです。
距離基準の場合には、測距データが連続して得られることが絶対的な要求になりますが、高度基準ではデータの要求度合いが比較的少なくて済みます。 このため、指揮兵器の設計・製造上の点からも、機構が簡単でかつ略算式を用いる必要がないことから、機構精度が良好であるという利点もあります。
この高射器高度射法も、更に次の3つに分類されます。
高度連測射法 |
連続的に測定する高度を、現在高度として計算装置に入れて発砲諸元を計出するもので、高度と高角からそれに対応した信管秒時が計出されるので、信管連測射法 とも言います。 |
高度散布射法 |
高度測定誤差をカバーするため、測定高度にある範囲の散布を加えたものを現在高度として計算装置に入れて発砲諸元を計出するもので、信管散布射法 とも言います。 |
高度極限射法 |
次の2つの種類があります。
(1) 高度が変化する目標を射撃する場合で、その刻々の高度変化に追従操作ができない時に、高度を一定高度に極限して連測射法に準じて射撃する方法です。
(2) 測高精度不良又は砲側の信管調定が機構上の制限で刻々の計出信管秒時に追従できない時に、信管調定を一定秒時に極限して射撃する方法で、信管極限射法 とも言います。 |
これらを概念的に図示すれば、次のようになります。
最終更新 : 17/May/2015
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