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第4話 迎送式について




 映画 「トラ・トラ・トラ」 の冒頭シーン ← 現在の頁
 登舷礼式
 「迎送式」 とは、陸上から長官艇へ
 長官艇で旗艦へ
 旗艦乗艦 (着任)




 映画 「トラ・トラ・トラ」 の冒頭シーン


過日、某巨大掲示板にて映画 「トラ・トラ・トラ」 の冒頭のシーンについて次の様なことが話題に揚がっておりました。


艦橋らしいところまですずなりのように白服の軍人が立っていました。 司令長官の交代ということはわかりますが、あれは、なんと言う儀式というか儀礼でしょう?


( 同映画広報用画像より )


当該シーンは、山本聡氏演じる山本五十六が昭和14年8月30日連合艦隊司令長官に親補され、旗艦 「長門」 に着任 (着任の正式な日付は不詳) する時のものですね。

当方もお世話になっている HN 「hush」 氏が本サイトで公開している 「海軍礼式令」 をご紹介下さって、「迎送式」 との回答をしてくださいました。 これはまさしく 「海軍礼式令」 の第128条に規程される 「迎送式」 という海軍としての公式な儀式、ということで正解です。


第百二十八條 (前略) ・・・・ 迎送式及伺候式を行う ・・・・ (中略) ・・・・ 司令長官若は司令官初て着任し若は職を解き退去するとき亦同じ


しかしながら、当該シーンでは実物大の 「陸奥」 セットの前檣楼にも、ありとあらゆるところに乗員が立ち並んでおりました。 確かにこの画面の様子は、大変に印象的なものでした。 ただしこれを 「登舷礼」 であるとの回答を付けた別の方がおられましたが、残念ながらこれは違います。

「登舷礼式」 というのは、旧海軍では同じく 「海軍礼式令」 の中で次の様に規定されています。


第七十六條 軍艦は第六十三條乃至第六十五條の場合の外左の場合に於て首席指揮官の乗艦に倣い登舷礼式 (総員舷側又は上甲板に整列す) を行うべし
 一 戦時若は事変に際し又は遠洋航海等の為出港の艦船を見送るとき其の他必要と認むるとき
 二 登舷礼式を受けたるとき
送別又は之に類する場合に於て登舷礼式を行うときは祝声を唱え又は帽若は布片を振り別意を表すことを得


つまり、新連合艦隊司令長官の着任はこの登舷礼式実施の規程に該当しません。 また、儀式における登舷礼式の要領として、前檣楼上に乗員がずらずら並ぶことはありません。

したがって、映画 「トラ・トラ・トラ」 のシーンは単に演出 (画面の見栄え) 上の全くのフィクションであると言うことです。



ということで、以下にこの 「迎送式」 に関連して、連合艦隊司令長官の着任時のことについて少しお話しをしてみたいと思います。

つまり、実は 「迎送式」 はというのはちょっとややこしい話しですので少し補足してみたいということと、併せて関連する 「船乗りの躾け、慣習、伝統」 と言ったもののお話しを、ということです。







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 最終更新 : 07/May/2017