発砲諸元とは



前項までで、目標現在位置 (P1) → 目標未来位置 (P2) → 弾道当日修正位置 (P3) → 弾道基準修正位置 (P4) の順で説明し、そしてこれによって目標未来位置を通る弾道を射表により求める方法を説明しました。




この射表によって求められた苗頭及び照尺距離を角度に変換し、これを目標の照準線 (LOS、Line of Sight) に加算することによって射線 (LOF、Line of Fire) を算出して、この射線に砲を指向して発砲することになります。

しかし、当然のことながら砲は艦の甲板面に対して装備されています。 したがって、砲を射線に向けるには算出された苗頭・照尺をこの甲板面を基準とした旋回角及び仰角として砲に与えられなければなりません。

射撃のために砲に与えられるこの 砲旋回角砲仰角、及び 信管秒時 (時計信管使用時) の3つを 発砲諸元 と言います。 即ち、発砲諸元とは、砲を射線に沿うように位置 (指向) させるのために計算された角度の値、と言えます。

ところが、照準・測的に始まって弾道計算に至るまでの問題解法は、その座標を水平面基準で行ってきました。  その一方で、この甲板面は動揺の有無に関わらず常に水平面に対してある傾斜をなしているのが普通です。 したがって、この水平面基準の角度を甲板面基準の角度に座標変換する必要があります。

これに加えて、地球は平面ではなく球面をなしており、あるいは砲口位置は照準位置 (=基準点) とは一致しておりません。 このため、各砲に対する発砲諸元を計出するに当たっては、これらについての角度修正も伴うことになります。

本項では、これらについて以下次の順で説明します。


  砲指向位置の座標
  動揺修正及び取付面傾度修正
  砲占位差修正
  砲尾軸水面高及び地球湾曲に対する修正  


(注) : 信管秒時については、時限信管を使用する場合以外においては必要がありませんので、本項では以後これについては省略いたします。 なお、信管秒時については、射撃理論上級編で詳細にご説明する予定です。







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最終更新 : 14/May/2015







1.発砲諸元とは 

2.砲指向位置

3.動揺修正

4.砲占位差修正

5.潜差修正