射撃指揮装置の一般主系統射撃指揮装置とは、射弾の命中を期すべき砲の 発砲諸元、即ち 砲仰角(A1)、砲旋回角(B1)、及び対空射撃における 信管分画(T1)を計出し、これを砲側に伝える一連の装置のことを言います。 これを言い換えるならば、射撃指揮装置とは射撃理論に基づき、平射においては次の A〜C の三次元連立方程式を、そして対空射撃においては @〜C の四次元連立方程式を解くためのものと言えます。 しかしながら、現在のような電子計算機などがなかった時代においては、これらの連立方程式を分解し、その要素を一つ一つ順に機械的又は電気的な計算機構によって求めるしかありません。 そのためには、「射撃理論解説 初級編」 の最後に掲げた 「射撃理論の総合図式」 の流れに従って求めて行くことになります。 旧海軍においては、当該図式を更に簡略化し、次に示す 「射撃指揮装置計算の系統図」 として説明しています。 この現在位置諸元計出から発砲諸元を砲側に伝達するまでの一連の系統を、それぞれどの様な要素に分解し、それをどの様な方法 (機械的、電気的) によって求め、そしてそれらをどの様な機構として具現化するかによって、様々な方式、様々な型式の装置が出来ることになります。 旧海軍においては、これら具現化された各装置のことを総称して 射撃指揮兵器、又は単に 指揮兵器 と呼びました。 つまり旧海軍における射撃指揮装置とは、これら射撃指揮兵器を適当な手段によって連結して砲側に発砲諸元を伝えるまでの一連の装置のことであると言えます。 (注) : 当時の 「射撃指揮装置」 (Fire Control System、FCS) とは、現在のような当該名称の “一つの装置” のことではなく、上記の目的を達成するために組み合わされた “種々の装置の総称” のことであることに注意してください。 これは旧海軍でも米海軍でも同じです。 射撃指揮装置の型式旧海軍においては、前項の系統図に沿って具現化した射撃指揮装置を、その構成方法によって6つの型式に分類していました。
もちろん、一つの型式の中でも、その各構成機構の細部においては一部又は大部分を省略して簡略化したり、あるいは測的方式がことなるために計算の系統が異なるものなど様々な差異がありますが、基本的な考え方としてはこの6つの型式の何れかに含まれるものとしています。 ◎ 第一型式平射用の射撃指揮装置における最も基本的な型式です。 (A) が 方位盤、(D) が 射撃盤 です。 (B) が 測距儀、(C) が 測的盤 で、両者を合わせて 測的兵器 と言います。 (C) は射撃指揮装置が 的針的速式 の場合に必要なもので、角度式 の場合は不要ですが、その替わりに点線で示す系統が必要となります。 (注) : 的針的速式及び角度式などの測的方式については射撃盤のところで説明します。 図の(D)を見てお判りのように、距離と飛行秒時についてのみ循環を行うため、計算の一部は簡略されたものとなります。 本形式の具体例 : ◎ 第二型式本形式は第一形式の改良型で、次図のとおり射撃盤に測的盤の機能を採り入れて (D’) としたものであり、的針的速式の指揮装置に用いられます。 本形式の利点は次のとおりです。 (1) (C) の機能を (D) に組み入れて防禦区画内に置くことができ、被害局限及び重心低下上有利である。 本形式の具体例 : ◎ 第三型式本形式は第二形式の改良型で、平射用射撃盤の一部を改良して高射可能としたものです。 本形式は戦闘様相の変化に対応すべく、元々の平射砲を対空射撃にも活用できるように改良がなされたものですが、本来が平射用の射撃盤であるため、高射用の計算式を相当に簡略化して具現化せざるを得ず、結局その高射性能は極めて限定的であったと言わざるを得ません。 本形式の具体例 : ◎ 第四型式旧海軍における高射用射撃指揮装置の最も基本的な型式です。 方位盤 (A) と射撃盤 (D) を一体化して (AH) としたもので、角速度式及び線速度式の指揮兵器の一つです。 この (AH) を特に 高射器、また高射用指揮装置を 高射装置 と言います。 測距儀と高射器を分離したものであるため測距目標と射撃目標との不一致をおこすおそれが大きく、これが本型式の欠点でした。 本形式の具体例 : ◎ 第五型式第四形式の改良型で、その欠点を解消するため高射器 (DH) より方位盤 (A) を切り離し、この方位盤 (A) と測距儀 (B) とを一体化して (A’) としたものです。 (A’) を 高射機、(DH) を 高射射撃盤 と言い、本形式では高射機と高射射撃盤を合わせたものが高射装置となります。 測距目標と射撃目標とを一致させるためには有利であり、かつ艦船においてはトップ・ヘビー軽減にも有効であることが利点です。 ただし逆に、陸上用としてはその装備がやや困難となりますので、主として要地防空用の射撃指揮装置に用いられることになります。 本形式の具体例 : ◎ 第六型式本形式は第一〜第五型式とは全く異なる方法によって計出した左右見越角及び上下見越角により、筒軸線に対して照準望遠鏡を反対方向へ同量だけ動かし、この照準望遠鏡により目標を照準することにより、所要の砲旋回角、砲仰角及び信管秒時などを得ようとするものです。 本形式を用いる装置は一種の照準兵器に属するもので、一般的にこれを 照準器 と言い、方位盤 (高射機) や射撃盤 (高射射撃盤) とは別の扱いになります。 装置そのものは非常に簡便なものですが、高射においては目標の高度を一定と仮定するためにその射撃計算は精密とは言い難いものがあります。 このため本形式は機銃射撃指揮装置、小艦艇及び陸上野戦用の高角砲指揮装置、あるいは対小型機を主目的とする高角砲指揮装置などに用いられることになります。 また、本形式の装置は高角砲又は機銃に装備して当該砲 (銃) を直接旋回俯仰することにより目標を照準することも可能であるため、砲 (銃) 側照準器 としても利用することができます。 本形式の具体例 : 最終更新 : 19/Dec/2015 |
射撃指揮装置機構概要
始めに
1.型式の分類 ←
2.方位盤の機構
(1) 目標照準機構
(2) 動揺照準機構
(3) 平射用方位盤
3.射撃盤
(1) 測的方式
(2) 機構一般
(3) 高射器
4.照準器
(1) 照準器
(2) 簡略照準器
5.射撃指揮装置の連結
(1) 連結系統
(2) 連結機構
(3) 発砲電路