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目標照準機構
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方位盤の動きが甲板面 (又は水平面) に対する旋回と俯仰であることから、目標の照準も必然的に上下照準と左右照準とに分けて行うことになります。
目標上下照準
目標上下照準は高角手輪 (ハンドル) を廻して目標上下照準用望遠鏡 (平射用の方位盤では単に 照準望遠鏡、高射器では 高角望遠鏡 と言う) により照準します。
この高角手輪の操作により、同時に目標左右照準用望遠鏡 (旋回望遠鏡 と言う) を俯仰させることになります。
目標上下照準用望遠鏡で照準することにより得られた測定高角 (α0) は射撃盤 (高射射撃盤) における射撃計算に使用されます。 ただし、当然のことながら測定高角には高低差による高角差 (DP) を含むことになります。
高角の測定方式には、次の2つの型式があります。
(1) 後述する動揺照準機構により水平面に対して垂直 (鉛直) に上下動する高角望遠鏡により高角 (α+DP) を測定する方法
(2) 動揺照準機構とは別個に高角望遠鏡をもって 「動揺角 (Δi1)+高角 (α+DP)」 を測定し、これに動揺照準機構により測定した動揺角を加減して高角を計出する方法
目標左右照準
目標左右照準は旋回手輪を操作して旋回望遠鏡により目標を照準しますが、この旋回手輪の操作は方位盤全体を旋回させることになります。 これにより測定した方位角 (β0) は射撃盤における射撃計算に使用されます。
高角式と水平式
従来の平射用方位盤においては、高高角目標の照準は不可能であるばかりでなく、高角照準を行うと必然的に動揺角(Δi1)の照準も不可能となります。 即ち、水上目標を照準する場合は動揺角も併せて測定することになるからです。
しかしながら航空機の発達による戦闘様相の変化は、平射砲を以てする高射実施の機会を増大させることとなり、このため平射用方位盤の一部を改良して高角照準を可能とする必要が出てきました。 この型式のものを 高角式 といい、これに対して従来の型式のものを 水平式 と言います。
即ち、高角式方位盤では目標上下照準用高角望遠鏡が追加されたことにより、高角手輪を操作して高角望遠鏡により目標の上下照準を行うことにより α0を得、次いで俯仰手輪を操作して従来の平射用照準望遠鏡により水平線を照準すれば照準線方向の動揺照準を行ったのと同じ結果になります。
また目標高高角左右照準は、旋回望遠鏡上に高角に関係なく左右照準が可能となるように装備した直視式の照準器により行います。
この高角式は更に改良され、二式方位盤や九八式方位盤のように高射機に準じた型式の目標及び動揺照準機構を有するものへと進むことになります。
最終更新 : 21/Dec/2015
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