第１０話　二十五粍三連装機銃について

　給弾室の構造

給弾室は、弾倉を装填位置に保持すると共に、弾倉の装填及び打ち終わりの時期に尾栓にこれを作用させ射撃速度を発揮するためのもので、給弾室、同蓋、弾倉留、同誘導挺、弾倉留発条、同発条帽、安全留、同発条、などで構成され、機筐上面の方形の座に嵌装され、軸栓により固定されます。

　　　給弾室

方形の筐で、上方に発条を付けた室蓋が取り付けられます。　内方の下面両側が弾倉受座となっており、中央は弾薬包の通路です。

前方の外側及び内側に段部があり、外側は機筐に嵌合し、内側は弾倉掛金がかかるところとなります。

後方には弾倉留、同発条、同誘導挺、安全留、などが装着されます。

　　　弾倉留、同発条、同誘導挺

弾倉留は、弾倉の方形の孔部を拘捉するもので、内腔に弾倉留発条が装着されます。

弾倉留発条は、その後端は発条帽を介して安全留を押し下げるように後方に圧し、弾倉留を常に前方に押し出します。

弾倉を挿入すると、弾倉留は弾倉下縁によってその斜面部を圧せられて一旦退入し、嵌装の定位に到ると突出して弾倉を拘捉します。

弾倉留誘導挺は、弾道留の上方に装着されており、必要により弾倉留を退入させる役目をします。

　　　安全留、同発条

安全留は、給弾室の後方に軸によって取り付けられ、前端は弾倉留の前端下方に突出しています。

後方下面は、安全留発条及び弾倉留発条によって常に押し下げられており、喞子桿の退却の極において尾栓を鈎扼します。　弾倉を嵌装の定位まで装入すると、安全留前端が弾倉の下縁に押し下げられて尾栓の拘捉を解きます。

指鈎部は、弾倉を装入しない場合に安全留を引き揚げる役目をします。　安全発条は、安全留の軸の前方下面に発条帽と共に装入され、常に安全留前方を押し上げます。

　弾　倉

弾倉の内部には、発条及び運弾盤が収めら、覆鈑により止められています。　また、前面下方には給弾室の段部に鈎する掛金があり、後面下方には弾倉留の入る方形の孔があります。

弾倉には１５発までの弾薬包を充填することができます。

運弾盤の後面には弾倉留掛金が取り付けられています。　この弾薬留掛金は、最終段発砲後に尾栓が後退すると尾栓の通路に突出し、尾栓前進の初期に尾栓前面に蹴られて、その上方は弾倉留を圧入します。

　取扱法

１．落下又は衝撃などにより弾倉を変形させないようにしなければなりません。　これは特にその底部についてで、弾薬包を筒中に正しい向きとするために特殊な形状をしていますので、もしこれを変形させると装填不具合となり、突込弾や不給弾を生じることになります。　教練においては特に弾倉を毀損、変形させないように留意する必要があります。

２．弾薬包を弾倉に装入後は、両手で弾薬包を押し動かして、過大な抵抗、あるいは不具合が無いか確かめておかなければなりません。

３．弾倉の装填の良否は、発射速度に大きく影響します。　弾倉を装填するには、先ず開挺により尾栓を後退させて安全留に掛けてから行う必要があります。

　 則ち、弾倉前部を給弾室に装入し、その後弾倉後部を活音を発するように一挙に圧下して行います。　（安全留が尾栓より離れ、喞子桿が約２ミリ前進して掛金に掛かるためです。）

４．射撃中に撃発起動挺が圧下されたまま弾倉を装填すると、連続発射を行いますので、装填の際は特に弾倉の保持に留意しなければなりません。

５．射撃終止の際に、内部に弾薬包が残っている弾倉を脱するには、弾倉留誘導挺を起こし、弾倉を少し前方に傾斜させて行ないます。

６．連続射撃中に、弾倉交換後も連発しない場合は弾倉不良によることが多いので、弾倉を交換します。　この際、弾倉を交換するには、必ず開挺を保持してこれを外さなければなりません。

７．射撃中に弾倉が外れて発火停止することがあります。　これは弾倉の不良か、あるいは弾薬包の装填が不確実のためです。

８．大仰角射撃の際は、弾倉留誘導挺が激動により起き上がり、これにより毎発給弾室から出てしまう傾向があるので注意が必要です。

（補足） ： 上記でお判りのように、弾倉前部を給弾室に装入し、後部を完全に装入しない（半装填）ままとすれば、発火装置は作動せず弾薬装填及び発砲は行われません。　したがって、取扱法に無い応用動作にはなりますが、やろうと思えばこれにより１銃ずつ順に連続射撃することも可能になります。

則ち、１銃のみ弾倉を完全装填、他はこの半装填のままとし、連続射撃中において１銃が１弾倉を打ち終わったのを見て他銃の弾倉を完全装填すれば、当該銃が続いて発射を継続することになります。

　最終更新 ：10/May/2020