測  的



 「測的」 とは


一般の方々にとっては 「測的」 という言葉もまた馴染みのないものと思います。 当然 『広辞苑』 などをひいても出てきません。

そして、この 「測的」 という言葉は旧海軍で使用されてきたものではありますが、何故か明確に定義されていないものの一つでもあります。

極く一般的な意味では “目標の運動を解明すること” と言うことができますが、ここではもう少し明確にするために 米海軍の定義 を示しますと次のとおりです。


「 測的とは、射撃艦に対する目標の運動経路を決定することをいい、照準と測距とにより得られる測定諸元を組み合わせることによって達成される。」

“ Tracking is the process of establishing the path of target motion with respect to the firing ship and is accomplished by combinig the data obtained by the aiming and ranging processes. ”



要するに、高校で数学を習われた方には “目標の運動ベクトルを求めるプロセス” と言った方が解りやすいかも知れません。

何れにしても、その 測的の手段は “照準” と “測距” が基本 です。 そしてこれによって 的運動のベクトルを求めるプロセス全体を 測的、その裏付けとなる理論を 測的理論 と言います。 当然のことながら前項でご説明した 「目標現在位置」 の決定もこの中に含まれることになります。

旧海軍においても、ほぼこれと同じ意味で使われましたが、ただし次項でご説明する目標未来位置の決定までをも含んで使われる場合もありましたので、旧海軍の史料を見る場合には注意が必要です。



 測的の形式


射撃における測的形式には、次の表現形式があります。


  (1) 自艦及び目標の線運動 (Linear Motion)
  (2) 照準線の角運動 (Angular Motion)
  (3) 基準系間の運動
  (4) 針路 (Course)、視針路 (頭 (あたま)) (Heading)、的角 (Target Angle)



砲術においては Target Angle には 「的角」 という用語を使用していますが、水雷術及び見張においては 「方位角」 という用語を使っています。 また、天文航法の用語としての 「方位角」 では 「方位」 を意味しています。







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最終更新 : 10/May/2015







目標未来位置の決定

 1.座標系

 2.記号体系

 3.目標現在位置

 4.測 的 

 5.目標未来位置