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第10話 二十五粍三連装機銃について




  問題の所在
  各種機銃要目
  九六式二十五粍機銃 銃架型別
  銃の基本構造
    銃身及び瓦斯調整装置 ← 現在
    機筐諸装置
    発火装置
    給弾室及び弾倉
  礎台架構の基本構造
  照準器
  整備・取扱法
  問題の結論






 銃 身


銃身の銃口には閃光覆が螺入されており、消煙作用を良好にするため、図のように多数の孔が開けられています。




就寝の中央下面には前部瓦斯誘導室に通じる小孔が穿かれて、また後端は尾栓及び殻抜が接するように特殊な形状をしています。

放熱筒は3個に別れており、上図のように前部瓦斯誘導室及び後部瓦斯誘導室と共に銃身に焼嵌されており、上面後方に固定螺があって銃身と機筐の螺戻しを防止するようになっています。



 瓦斯調整装置


発射瓦斯の一部を喞子桿前面に導き、発火装置を後退させて連続発射を行うためのもので、喞子桿前面に作用する瓦斯圧力を任意に調整できるようになっています。

(注) : 喞子桿の 「桿」 は、「金」 偏に 「旱」 の字が正式ですが、現在のパソコンでは機種依存文字のため 「桿」 で統一しています。 (以下全て同じ) 


  構  造


前部瓦斯誘導室、瓦斯管、後部瓦斯誘導室、瓦斯筒、瓦斯調整筒、及び瓦斯調整弁などで構成されます。


    a.前部瓦斯誘導室


内部に前後上下に通じる小孔があり、上方は銃身の小孔に連なり、下方は瓦斯孔手入用で瓦斯誘導室塞螺で閉鎖します。 前方は円錐形に開口しており前端から瓦斯調整弁を螺入し、後方は瓦斯管が装着されます。

誘導室前部の外周には0~9の目盛りが刻まれ、調整弁の調整位置を示すと共に、瓦斯調整筒留が入る様にもなっています。


    b.瓦斯管


牝螺によって前部瓦斯誘導室に取り付けられており、瓦斯管覆によって保護されています。


    c.後部瓦斯誘導室


後方に瓦斯筒が嵌合され、内腔は瓦斯圧力を喞子桿に伝える作動部となっています。


    d.瓦斯筒


喞子桿が作動する空筒で、8個の小孔があり喞子桿を後退させた後の瓦斯抜孔となっています。


    e.瓦斯調整筒


瓦斯調整弁に固定され、前部瓦斯誘導室に嵌合されています。 外部には調整筒留があり、調整位置を保持すると共にその指標を兼ねています。


    f.瓦斯調整弁



前部瓦斯誘導室に螺入し、この螺入量を調整して大気中に出る瓦斯の量を加減し、喞子桿に作用する瓦斯圧力を調整することにより、適切なる発射速度を得るようにするものです。


  発砲時の瓦斯経路


銃身下面の小孔 → 前部瓦斯誘導室 →

    → 調整弁 (弁座 → 弁 → 弁面3個の小孔 → 調整弁内腔 → 大気中)

    → 瓦斯管 → 後部瓦斯誘導室 → 瓦斯筒 → 喞子桿 → 瓦斯筒の8個の小孔 → 大気中



 取扱法


1.瓦斯調整筒の目盛りは一般に大気温度摂氏15度付近においては 「4」 に調整するのが適当とされています。

2.瓦斯調整弁の調整を行うには、瓦斯調整弁を弁座に密着するまで一杯に螺入した後、所要の目盛りとなるように螺出します。 (一杯に螺入した時は 「0」 を指す) これによらず目盛だけで行う時は、正確に調整し得ない場合があります。 瓦斯調整弁を調整した時は、発砲の激動などにより変調することがないよう、調整筒留に注意しなければなりません。

3.喞子桿の後退が活発に過ぎると、銃の振動大、殻抜の作用急激となって、「突込弾」や「焼付」等を生ずる場合があるので、目盛を漸次増加して瓦斯の経路を大きくする必要があります。 また厳寒時、あるいは各部の摩耗が増加する時は喞子桿の後退が不十分となるため、尾栓が弾薬包を正しい位置に装填することができなくなり、このため「突込弾」や「不給弾」などを生じることがあるので、この場合は目盛を小さくして瓦斯の逸路を小さくしなければなりません。

4.瓦斯管は厳密な調整を行って緊締してあるため、みだりに分解してはなりません。 止むを得ず分解・結合する場合は、瓦斯管取付金具を使用して、衝帯の位置及び締着の状況に注意します。 なお、瓦斯管の手入れは特製要具を使用して行わなければなりません。

5.銃身の冷却法は前頁で示したとおりです。

6.銃身を離脱する場合は、必ず喞子桿を外した後に行います。 この際、瓦斯筒は変形しやすいため、特にその取扱には注意しなければなりません。

7.筒中の手入れには、必ず保身筒を使用しなければなりません。


(補足) : 旧海軍の記録画像などで、連装及び三連装機銃の連射において、各銃の発射のタイミングがずれて、各銃がバラバラで発射しているように見えると思います。 これは連装及び三連装機銃の各銃をいかに精密に調整しようともこのようになる、ならざるを得ないのです。 これがこの二十五粍機銃の構造上の特徴です。

則ち、各銃の発射のタイミングは、この瓦斯調整装置、特に瓦斯調整弁の性能、これによる瓦斯圧によって発火装置を退却・前進させる喞子桿に装着される推進発条の固有の強さ、そして銃と銃鞍との間に取り付けられ発射の衝撃を吸収し銃を復座させる駐退・推進発条の固有の強さ、などによってくるからです。







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 最終更新 :10/May/2020