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九五式爆雷 |
水上艦艇より投射又は落下する対潜爆雷で、昭和10年3月艦本機密第6250号通牒により仮称九五式爆雷として開発され、昭和12年7月内令兵第31号を以て兵器採用されたものです。 本爆雷は太平洋戦争後半に二式及び三式爆雷に取って代わられるまで旧海軍の主要対潜兵器として広く使用されました。
(2021.10.03 追加) 別資料による上のオリジナル写真 |
全 長 | 775 mm |
缶 径 | 450 mm |
胴体厚さ | 4 mm |
装備全重量 | 160 kg |
空缶重量 | 60 kg (発火装置、導火薬共) |
炸薬室容積 | 104 リットル |
炸 薬 | 八八式爆薬 100 kg |
導火薬 | 下瀬火薬 350 g |
信 管 | 九五式爆雷信管 |
発火深度 | 30m、 60m、 傘使用時 : 30 m |
沈降速度 | 1.9 m/秒、 傘使用時 : 1m/秒 |
使用投射機 | 八一式投射機、 九四式投射機 |
使用投射箭 | 爆雷投射箭、 同 一型 |
着底発火 | 18m 以上各調定深度に至るまでの海深 |
構造は図のとおりで、円筒形の缶体に炸薬が充填されており、その中心中央部の円筒内に、深度調定機構、導火薬筒及び発火装置筒などのメカニズム一式が格納されています。
缶体両端の外蓋は、片方は缶体に炸薬充填後に外周16本の螺子で止められており、中央部の円筒外端に外蓋との発火装置筒覆が螺入されており、これにより外蓋と円筒及びその内側に挿入された発火装置筒を固定しています。
反対側の外蓋は缶体に溶接されており、中央部に深度調定装置が螺入され、外蓋と円筒及びその内側に挿入された導火薬筒を固定しています。
中央内筒のほぼ中央には、着水後に海水により奥に押された発火装置筒がこの位置から先に進まないように制限するための制止環が装着されています。
発火装置筒及び導火薬筒の周囲にはそれぞれゴム製のガスケットが巻かれており、内筒内側との水密を保つようになっています。
(1) 深度装置の深度調定レバーを回して 「安全」 から所要の深度の目盛りに合わせます。 これにより、起爆薬筒の固定が解除されるとともに、調定深度に合わせた深度調整弁の3つの注水口が開きます。
(2) 爆雷缶の反対側にある発火装置筒固定用の木製の二股状の櫛を引き抜きます。 これにより発火装置筒の固定が解除され、中央円筒内を奥に移動可能となります。
(1) 投射・投下により着水すると、発火装置筒は浸入した海水に押されて制限環まで奥に進み、この位置で反対側から起爆薬筒が対抗してくるのを待ちます。
(2) 爆雷の着水後、深度調定装置の3つの注水口から浸入した海水により起爆薬筒が押されて、中央円筒内を徐々に奥に進み、発火装置筒と対抗します。
(3) 爆雷が沈下するに合わせ、その深度による海水圧により起爆薬筒は徐々に押され、その前端にある固定解除突縁 (フランジ) が発火装置の撃針固定椀を押して回転させます。
(4) 爆雷が設定深度に達した時に、回転した発火装置の撃針固定椀が撃針筒 (スリーブ) を押し戻し、撃針を固定している固定球が固定球開放溝に入ることにより撃針の固定が外れ、撃針発条により撃針が前進して信管を叩くことによりこれを起爆させます。
(5) 信管の起爆により、これを導火薬に伝え、そして導火薬により缶体の炸薬を起爆させます。
( 解体され無能化された九五式爆雷。 発火装置側の螺子止めの外蓋が外されていることから、缶体中の炸薬は抜かれているものと思われます。)
(1) 缶体片方の外蓋中央部に螺入されている発火装置覆を外します。
(2) ここから中央円筒に短い湾曲した二股のものを差し込んで、発火装置筒端にある安全櫛固定用の溝を掴み、そしてユックリと発火装置筒を抜き出します。
(3) 発火装置筒を抜き出したら、先端にある信管を外します。
(4) 次に、反対側の外蓋の中央に螺入されている深度調定装置を外します。
(5) そして、木製の棒を反対側の発火装置筒を抜いた側から差し込み、起爆薬筒を押し出します。
(6) 最後に、外した信管、起爆薬、及び炸薬を廃棄します。
(注) : 上の写真では、発火装置覆が付いたままで外蓋が外されておりますが、これはこの通常の手順に従ったものではありませんので、おそらく使用される前 (保管中) の状態のものを解体したものと思われます。
( Special Thanks ! ) : 上の写真は、今も沖縄で遺構の発掘調査で活躍されておられる南埜安男氏よりいただきました。 ありがとうございます。
最終更新 : 10/Oct/2021