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第7話 地球自転の影響について




  艦砲射撃における特徴
  海上自衛隊の場合
  旧海軍の場合 ← 現在
  米海軍の場合




 旧海軍における理論的説明


海上自衛隊におけるこの艦砲射撃における地球自転の影響の説明は、旧海軍のものをほぼそのまま引き継いでおりますので、旧海軍における理論的説明は前項のとおりです。

ただし、X、Y、Zの各要素の名称は、旧海軍では次のとおりとしていました。


X効果 → P component

Y効果 → Q component

Z効果 → R component




 旧海軍における算式


旧海軍における地球自転の影響による射距離差 ΔX 及び横偏差 ΔZ の理論式は次のとおりです。





ここで、

α : 地球自転の角速度 (0.0000729 rad/sec)

g : 重力加速度 (9.80 m/s2

λ : 発射地点の緯度(赤道を 0°とし、北緯は 0〜90°、南緯は 0〜−90°)

μ : 発射方位 (北基準)

R : 地球半径

ただし、地球自転の角速度と地球半径には次の値を使用しています。




この理論式について、水上射撃の範囲内においてはそれぞれ後半の式を省略して実用上差し支えないものとし、射表編纂上では次の算式を用いていました。





 旧海軍における射表編纂上の問題点


旧海軍における射表は亀ヶ首射場での実験値を元に編纂されていましたが、地球自転の影響を考慮するに至る以前から、射表の値そのものには基準地である亀ヶ首射場 (北緯34度4分) における射線方位148度に対するその影響が含まれたものでした。

その後、大口径砲においてはこの影響を考慮する必要が出てきたため、その射表には亀ヶ首射場における射線方位である真方位148度に対する各方位の修正表である 『地球自転に因る射程差 (米)』 が付録として付加されました。

そして、任意の緯度の地点における任意の射線方位に対する地球自転の影響は、射表及びこの付録の修正表を基礎として、一々前述の算式により計算したものを更に修正する必要がありました。

したがって、これでは実際の射撃における実用性に欠けることから、海軍砲術学校では事前に次の様な代表的な緯度と射線方位の算定表を作成しておき、これに基づきその時の実際の緯度及び射線方位に対して比例配分により正確な修正量を求めるように指導していました。




このことは、本来の射表の編纂からするとあまり好ましいやり方とは言えませんが、旧海軍では従来の経緯からやむを得ざるものと捉えていたようです。

それでも、「大和」 型に搭載するために開発された九八式射撃盤においては、この地球自転の影響は射撃地の緯度を緯度盤に手動入力することにより、後は自動的に発砲諸元に射距離差及び苗頭の修正が行われるようになっています。



( 横須賀海軍砲術学校 『九八式射撃盤改一参考書』 より )







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 最終更新 : 06/Mar/2016