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(補) 残留油分の除去について




ブログで本記事を連載した後に、掲示板の方で次の様なご質問をいただきました。


ブログに酸素魚雷の四塩化炭素の事が書かれていますが、元回天搭乗員の方々が四塩化炭素は酸素管の油分除去の意味もあると言うのですが、それも目的で始動空気と替えたのでしょうか?



これについては 「一液」 の項でも解説しましたとおり、九三式魚雷三型の 「一液」 と呼ばれる四塩化炭素は一型の 「第一空気」 を置き換えるためのもので、油分除去を目的とはしておりません。

そもそも九三式魚雷の酸素の管系統は厳重な製造及び保守管理がなされており、特に一型の第一空気の取り扱いも第二空気並み、と言うよりそれ以上に面倒な点もありましたので、問題となるような油分が残ることはまずあり得ません。 従って一型においても残留油分が問題とされたことはありませんし、またこれによる事故等の発生も記録されていないはずです。

そして第一空気の窒素を他のものに置き換えるという発想に基づき様々なアイデアが出されて実験を行ったときに、最終的に 「一液」 として成功したのがこの四塩化炭素です。

したがって、この三型になって第一空気を用いていた時よりは製造及び保守管理が楽になったとは言え、元々の一型でも残留油分が問題にはなってはおりませんので、これを目的とすることはあり得ないわけです。

ただし、その楽になった分は四塩化炭素を使用することにより残留油分の除去も “より効果的に” 実施することが可能になったことは確かですが、これはあくまでも “副次効果” であって目的ではありません。

ご質問にある元回天搭乗員の話しはその根拠が判りませんが、おそらく四塩化炭素がドライクリーニングの溶剤などとしても用いられるものであることもあって、この副次効果のことをどこかで勘違いされたのではないかと思われます。







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 最終更新 : 25/Mar/2017