座標系 (座標方式)



 座標系と基準系

  (1) 座標系とは


空間におけるある点について、その点の位置関係を表すための方法を座標系、あるいは座標方式といいます。

この座標系には大きく分けて、その座標系の原点 (基準点) をどこに置くかによって、絶対座標系と相対座標系の2つに区別されます。

艦砲射撃においては、原点を自艦 (射撃艦) に置いて、その自艦から見た目標の位置を相対座標系で表しますが、次の3つの座標系の内の何れかを使用します。 


(1) 極座標 (2) 円筒座標 (3) 直交座標
 球面座標
 Polar coordinates
 Spherical coordinates
 柱座標
 柱面座標
 Cilyndical coordinates
 直角座標
 Cartesian coordinates
 Rectangular coordinates
 Orthogonal coordinates


  (2) 基準系とは


基準系とは、座標系の原点をどこに、どのように置くかを決める基本的系で、射撃理論でよく使用されるのは次のものです。


  ア. 慣性系 (Basic inertial frame)
  イ. 地球系 (Earth frame)
  ウ. 自艦系 (Own ship frame)
  エ. 安定系 (Stabilized frame)



慣 性 系 地 球 系
   
艦首基準自艦系 艦首基準安定系
   
北基準自艦系 北基準安定系


具体的にどの基準系を使用するかは、その時の射撃の問題の解き方 (各射撃指揮装置の設計の仕方) によります。



 基準点、基準面及び基準線

  (1) 基準点 (Reference point)


艦砲射撃では、原点を常に自艦に取ります。 と言うことは、目標の現在位置は、自艦に関して測定 (測量) されると言うことです。 即ち、自艦が座標の 「基準点」 であり、またこの基準点のことを 「原点」 とも言います。

それでは、もう少し細かく言うと、ではこの基準点は自艦の中のどこなのでしょうか?

具体的には、それは主方位盤であることもあるし、艦上の架空の一点でもあることもあるし、またあるいはその他船体のどこかの一点を選択することもあります。 これは偏にその艦の射撃システムの設計の仕方で決まります。


  (2) 基準面 (Reference plane)


艦艇において、目標の現在位置を測定するための座標系を設定 (設置) する基準面は次のとおりです。


  ア. 水平面 (Horizontal plane)
  イ. 甲板面 (Deck plane)



  (3) 基準線 (Reference line)


艦艇において、目標の現在位置を測定するために使用する基準線は次のとおりです。


  ア. 水平面に対する鉛直線 (Vertical)
  イ. 甲板面に対する垂直線 (Normal)
  ウ. 自艦中心線 (Own ship centerline、OSCL)
  エ. 南北線 (N-S line)




 目標位置の表し方

  (1) 極座標


目標位置を、次の3元で表します。


方向 (B )(方向角 (B))    …… 角度

高角 (α) (E)           …… 角度

距離 (R)               …… 線分



  (2) 円筒座標


目標位置を、次の3元で表します。


方向 (B) (方向角 (B))   …… 角度

鉛直距離成分 (Rv)      …… 線分

水平距離成分 (Rh)      …… 線分



  (3) 直交座標 (直角座標)


目標位置を、次の3元で表します。  基準線を南北方向にとるか艦首尾線方向にとるかによって2種類の方法があります。


鉛直距離成分 (Rv)            …… 線分

北−南方向の水平距離成分 (Rhy)  …… 線分

東−西方向の水平距離成分 (Rhx)  …… 線分

鉛直距離成分 (Rv)            …… 線分

艦首尾線方向の水平距離成分 (Rhy)   … 線分

艦首尾線直角方向の水平距離成分 (Rhx)
                         …… 線分



  (4) 座標の変換


上記の3つの座標系で目標の位置を表しても、その位置 (座標) は他の座標系の座標に簡単に変換可能であることは、すぐにお解りいただけるでしょう。

これら3つの座標系間の関係は次のとおりです。




 (注) : 緑文字は、米海軍及び海上自衛隊での用語、記号を表します。 それ以外は原則として旧海軍の用語、記号です。







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最終更新 : 10/May/2015







目標未来位置の決定

 1.座標系 

 2.記号体系

 3.目標現在位置

 4.測 的

 5.目標未来位置