砲戦要務




  総 説
  砲戦の準備
  戦闘中及び戦闘後の処置 ← 現在の頁



 戦闘中及び戦闘後の処置


  戦闘中の処置


戦闘中に人員に事故がある場合はそれぞれその系統に従って専任順に交代・補欠することとされていますが、 砲火指揮系統においては次の標準によります。


ア.砲術長に事故がある場合は、砲台分隊長が専任順序にしたがってこれに代わる

イ.分担又は分火指揮官に事故がある場合は、同砲種の砲台長がこれに代わる。 ただし分火指揮官の交代・補充は砲術長の令を待って行うこととされています。

ウ.射撃号令官に事故がある場合は、同系統の砲台付属将校がこれに代わる

エ.距離測定掛に事故がある場合は、その他の下士がこれに代わる

オ.変距率測定掛に事故がある場合は、砲術長付将校又は幹部付属員がこれに代わる


戦闘中に砲員に死傷を生じた時は、砲台長又は砲台付は次の標準により速やかにこれを補欠することとされています。


ア.側砲の砲種の補欠は非戦闘側の対舷砲手によるが、多数同時に欠けた場合は対舷砲員全部によってこれを交代させる。 ただし必要があれば非戦闘舷全般から適宜これを補欠することも可能

イ.旋回砲砲手及び両舷戦闘における側砲砲手の補欠は、小口径砲員をもってこれに充てる

ウ.砲塔砲員の補欠はその弾薬庫員をもってこれに充てる


その他、砲台全般について補欠・交代の必要が出た場合は、副長がこれを行うこととされます。

幹部付属員の補欠は、小口径砲砲員によりこれを行うこととされ、その為に予備員を予定して訓練を施す必要があります。

砲戦が長時間にわたる場合は、砲台長又は砲台付は適宜の時期に砲手を交代させ、照準の粗漏及び発射速度の低下を予防することが重要です。

死傷者が多数発生して上記の補欠ができない時は、各砲塔及び砲台ごとに使用門数を減らし、使用砲の砲員の充実を図ることとされています。

弾薬の供給速度は、発射速度を低下させない程度とし、過多の弾薬を砲側又は揚弾機付近に集積させないことが必要です。 供給装置が不便な場合でも、装薬はなるべく砲側の準備数を減らし、必要に応じて供給することとされています。 また側砲の場合は必要に応じて両舷の供給力を一舷に集中することも必要です。

戦闘中の弾薬の現在数を調査する場合、弾薬庫、弾薬通路、及び砲側にあるものを遺漏無く計上することが必要です。



  戦闘後の処置


戦闘後においては、人員及び兵器の欠損、状態に応じて全般を通して適宜に補欠を行い、速やかに第二の戦闘に対する準備を整えることが必要です。 この補欠の要点は、比較的重要でないところを減員して主要なるところの充実を図ることにあり、減員の順序は臨戦準備における人員充実の標準に準拠します。

戦闘後は速やかに諸兵器を整理して、破損及び故障を修理・復旧し、弾薬は各弾薬庫を通じて平均となるようにします。







頁トップへ

初版公開 : 15/Apr/2018






明治40年代

  砲戦の基本要素

  軍艦の砲装

  軍艦の防御

  軍艦の速力

  砲火指揮法

  射 法

  射撃教育

  砲戦要務

    総 説

    砲戦準備

    以後の措置

  戦 術