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九三式探信儀 |
八九式探信儀に改良を加え、かつフランス SCAM 社より購入したものの送受波器の型式を採用して開発されたもので、旧海軍における初の実用探信儀です。 九三式には一型 〜 四型があり、主として一型は直流電源を使用する駆潜艇・駆逐艦・敷設艇、二型は交流電源を使用する掃海艇・水雷艇、三型は交流電源を使用する駆逐艦・駆潜艇、四型は潜水艦に搭載されたとされています。 各型ともそれぞれ各部に順次改良が加えられているものの、基本構成はいずれも同じで、次のものからなります。
1.発受振装置 : 発振系、受振系、継電器、送波器
2.操縦装置 : 保持装置、堰戸弁装置、電動装置、整動装置
3.指揮装置 : 距離指示装置、 方向指示装置
探知能力については十分なデータが残っておりませんが、一例としては次の様なものがあります。
装備艦種 | 使用速力 | 目 標 | 最大探知距離 |
駆逐艦 | 16 kt | 潜水艦 水中 4 kt | 3,200 m |
駆潜艇 | 6 kt | 潜水艦 水中 3 kt | 5,300 m |
12 kt | 同 水上 7 kt | 5,800 m | |
掃海艇 | 12 kt | 潜水艦 水上 9 kt | 6,000 m |
14 kt | 同 水上 8 kt | 4,400 m | |
潜水艦 | 水中 6 kt | 潜水艦 2隻編隊 水上 16 kt | 7,500 m |
各型及び操縦装置、送波器の詳細は次のとおりです。
一 型 |
二 型 |
三 型 |
四 型 |
操縦装置 |
送波器 |
( 昭和8年駆潜艇12号に装備された九三式探信儀一型の大要図。 同じ一型でもその後のものには一部改良が加えられています。)
電 源 | 直流 100 V |
構 成 | 発受振装置、 保持装置、 堰戸弁装置、 電動装置、 整動装置、 方向指示装置、 距離指示装置 |
使用送波器 | 九三式送波器 一型、 二型、 三型 |
総重量 |
電 源 | 直流 100 V |
主要構成部品 | 発振器 濾波器発振電源用、 受振器 濾波器受振電源用、 送受継電器、 受聴器挿栓筐、 受聴器切断器、 管制器、 電動直流発電機 発受振装置用 |
総重量 |
主要構成部品 | 保持筒、 器筐、 案内鐶、 旋回器、 昇降器、 昇降器指示器、 昇降制限転換器 |
総重量 |
主要構成部品 | 堰戸弁筐 及び 堰戸弁、 手動開閉器、 開閉指示器 |
総重量 |
電 源 | 直流 100 V |
主要構成部品 | 昇降旋回電動機、 同 起動器、 電磁制動機、 同 自動管制器、 管制盤 |
総重量 |
主要構成部品 | 操縦器、 電動機 A・B筐、 側路拿装置、 補給油槽、 操縦連結装置 |
総重量 |
電 源 | 直流 50 V、 50 Hz |
主要構成部品 | 方向発振器、 転舵受信器、 電源切断器、 水準器、 主方向指示器、 従方向指示器 |
総重量 |
電 源 | 直流 100 V |
主要構成部品 | 電鍵、 電鍵接続筐、 距離指示器、 距離発信器、 距離受信器、 配電筐 |
総重量 |
電 源 | 交流 220 V |
構 成 | 発受振装置、 保持装置、 堰戸弁装置、 電動装置、 整動装置、 方向指示装置、 距離指示装置 |
使用送波器 | 九三式送波器 一型、 二型、 三型 |
総重量 |
電 源 | 交流 220 V |
主要構成部品 | 発振器 濾波器発振電源用、 受振器 濾波器受振電源用、 送受継電器、 受聴器挿栓筐、 受聴器切断器、 管制器、 整流器 受振電源用 |
総重量 |
主要構成部品 | 保持筒、 器筐、 案内鐶、 旋回器、 昇降器、 昇降指示器、 昇降制限転換器 |
総重量 |
主要構成部品 | 堰戸弁筐 及び 堰戸弁、 手動開閉器、 開閉指示器、 |
総重量 |
電 源 | 交流 220 V |
主要構成部品 | 昇降旋回電動機、 同 起動器、 電磁制動機、 同 自動管制器、 管制盤 |
総重量 |
主要構成部品 | 操縦器、 電動機 A・B筐、 側路拿装置、 補給油槽、 操縦連結装置 |
総重量 |
電 源 | 交流 60 V、 60 Hz |
主要構成部品 | 方向発振器、 転舵受信器、 電源切断器、 水準器、 主方向指示器、 従方向指示器 |
総重量 |
電 源 | 直流 100 V |
主要構成部品 | 電鍵、 電鍵接続筐、 距離指示器、 距離発信器、 距離受信器、 配電筐 |
総重量 |
電 源 | 交流 220 V |
構 成 | 発受振装置、 保持装置、 堰戸弁装置、 電動装置、 整動装置、 方向指示装置、 距離指示装置 |
使用送波器 | 九三式送波器 一型、 二型、 三型 |
総重量 |
> 電 源 | 交流 220 V |
主要構成部品 | 発振器 濾波器発振電源用、 受振器 濾波器受振電源用、 送受継電器、 受聴器挿栓筐、 受聴器切断器、 管制器、 整流器 受振電源用 |
総重量 |
主要構成部品 | 保持筒、 器筐、 案内鐶、 旋回器、 昇降器、 昇降指示器、 昇降制限転換器 |
総重量 |
主要構成部品 | 堰戸弁筐 及び 堰戸弁、 手動開閉器、 開閉指示器、 |
総重量 |
電 源 | 交流 220 V |
主要構成部品 | 昇降旋回電動機、 同 起動器、 電磁制動機、 同 自動管制器、 管制盤 |
総重量 |
主要構成部品 | 操縦器、 電動機 A・B筐、 側路拿装置、 補給油槽、 操縦連結装置 |
総重量 |
電 源 | 交流 60 V、 60 Hz |
主要構成部品 | 方向発振器、 転舵受信器、 電源切断器、 水準器、 主方向指示器、 従方向指示器 |
総重量 |
電 源 | 直流 100 V |
主要構成部品 | 電鍵、 電鍵接続筐、 距離指示器、 距離発信器、 距離受信器、 配電筐 |
総重量 |
電 源 | 直流 220 〜 330 V |
構 成 | 発受振装置、 保持装置、 堰戸弁装置、 電動装置、 整動装置、 方向指示装置、 距離指示装置 |
使用送波器 | 九三式送波器 四型 |
総重量 |
電 源 | 直流 220 〜 330 V |
主要構成部品 | 発振器 濾波器発振電源用、 受振器 濾波器受振電源用、 送受継電器、 受聴器挿栓筐、 受聴器切断器、 管制器、 電動直流発電機 発受振装置用 |
総重量 |
主要構成部品 | 保持筒、 器筐、 案内鐶、 旋回器、 昇降器、 昇降指示器、 昇降制限転換器 |
総重量 |
主要構成部品 | 堰戸弁筐 及び 堰戸弁、 手動開閉器、 開閉指示器、 |
総重量 |
電 源 | 直流 220 〜 330 V |
主要構成部品 | 昇降旋回電動機、 同 起動器、 電磁制動機、 同 自動管制器、 管制盤 |
総重量 |
主要構成部品 | 操縦器、 電動機 A・B筐、 側路拿装置、 補給油槽、 操縦連結装置 |
総重量 |
電 源 | 交流 50 V、 50 Hz |
主要構成部品 | 方向発振器、 転舵受信器、 電源切断器、 水準器、 主方向指示器、 従方向指示器 |
総重量 |
電 源 | 直流 100 V (電燈火用220V電源使用) |
主要構成部品 | 電鍵、 電鍵接続筐、 距離指示器、 距離発信器、 距離受信器、 配電筐 |
総重量 |
機構装置重量 | 2,113.8 kg |
電動装置重量 | 1,083.5 kg |
装備全重量 | 3,207.3 kg |
昇降行程 | 1,000 mm |
開閉行程 | 470 mm |
送波器突出量 | 船底より送波器中心まで 400 mm |
装備艦艇 | 第一号、第二号、第五号駆潜艇、 厳島 |
昇降管制器 | 個数 : 1 |
旋回電動機 | 馬力 : 2.5 HP、 回転数 : 600 rpm、 個数 : 1 |
同起動器 | 個数 : 1 |
昇降電動機 | 馬力 : 2.5 HP、 回転数 : 1,000 〜 1,500 rpm、 個数 : 1 |
同起動器 | 個数 : 1 |
開閉電動機 | 馬力 : 1 HP、 回転数 : 1500 rpm、 個数 : 1 |
同起動器 | 個数 : 1 |
整動機 A筐 (側路拿共) | 2.5番K型、 回転数:600 rpm、 個数 : 1 |
整動機 B筐 | 2.5番K型、 回転数:600 rpm、 個数 : 1 |
旋回操縦器 | 個数 : 1 |
旋回秒時 | 29回/分 |
昇降秒時 | 10 〜 14 秒 |
開閉秒時 | 10 秒 |
九三式探信儀一型操縦装置(其一)の重量を軽減する如く開発されたものです。
機構装置重量 | 約 1,305 kg |
電動装置重量 | 約 377 kg |
装備全重量 | 約 1,682 kg |
昇降行程 | 1,195 mm |
送波器突出量 | 船体より 送波器中心まで 350 mm |
装備船艇 | 第17号、第18号掃海艇 |
管制盤 | 個数 : 1 |
操縦電動機 | 馬力 : 2.5 HP、 回転数 :600 rpm、 個数 : 1 |
自動起動器 | 個数 : 1 |
整動機 A筐 | 個数 : 1 |
整動機 B筐 | 個数 : 1 |
昇制限転換器 | 個数 : 1 |
降制限転換器 | 個数 : 1 |
堰戸弁開閉指示器 | 個数 : 1 |
昇降計 | 個数 : 1 |
表示燈 | 個数 : 1 |
旋回秒時 | 29回 /分 |
昇降秒時 | 20 秒 |
昭和12年8月4日官房機密第2928号訓令により潜水艦装備に適したように横須賀海軍工廠機雷実験部において試製したものを、昭和13年2月に伊号第7潜水艦に装備して実験したものです。
保持装置 | 675.7 kg |
堰戸弁装置 | 687.7 kg |
電動装置 | 300.0 kg |
整動装置 | 149.8 kg |
装備全重量 | 1,813.2 kg |
昇降行程 | 890 mm |
開閉行程 | 500 mm |
保持筒外径 | 90 mm |
送波器突出量 | 船底より送波器中心まで 400 mm |
装備艦艇 | 伊号第7潜水艦 |
昇降制限展開器 | 個数 : 1組 |
昇降計 | 個数 : 1 |
電磁整動器 | 個数 : 2 |
昇降旋回電動機 | 馬力 : 2.0 HP、 直流、 回転数 : 600 rpm、 個数 : 1 |
自動起動器 | 個数 : 1 |
管制盤 | 個数 : 1 |
整動自動管制器 | 個数 : 1 |
昇降表示燈 | 個数 : 1 |
整動器 A・B筐 | 2.5番K型、 回転数 : 最大 600 rpm、 個数 : 1組 |
補給油槽 | 個数 : 1 |
堰戸弁開閉指示器 | 個数 : 1 |
排水ポンプ | 個数 : 1 |
旋回秒時 | 停泊中 : 右 6.6 秒、 左 6.0 秒 水上航行中 : 右 7.4 秒、 左 7.0 秒 (自速7ノット) |
昇降秒時 | 停泊中 : 上昇 16 秒、 降下 14 秒 水上航行中 : 上昇 20 秒、 降下 16.8秒 (自速7ノット) |
九三式探信儀用の送波器には一型〜四型がありますが、九三式探信儀一型〜三型では装備艦によりこの送波器一型〜三型のいずれかが使用され、送波器四型は主として九三式探信儀四型で使用されました。
振動周波数 | 29,000 Hz |
許容有効最大電圧 | 2,650 V |
振動板直径 | 310 mm |
重量 | 130 kg |
振動周波数 | 25,000 Hz |
許容有効最大電圧 | 2,650 V |
振動板直径 | 310 mm |
重量 | 150 kg |
振動周波数 | 17,500 Hz |
許容有効最大電圧 | 2,650 V |
振動板直径 | 310 mm |
重量 | 180 kg |
主として九三式探信儀四型で使用されたものです。
振動周波数 | 17,500 Hz |
許容有効最大電圧 | 2,200 V |
振動板 (外板) | 外径 : 360 mm、 厚さ : 77 mm |
振動板 (内板) | 外径 : 310 mm、 厚さ : 38 mm |
水晶板 | 外径 : 310 mm、 厚さ : 5 mm (3層) |
重量 | 165 kg |
最終更新 : 10/Nov/2019