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三式掃海具 |
対艇式及び単艇式の掃海具で、磁桿 (棒磁石) を曳航して磁気機雷を処分するものです。 今次大戦開戦後に香港及びシンガポールで捕獲された英国製の磁気掃海具を模倣して開発されたもので、昭和18年の内令兵第39号により一型、二型及び三型の3種類が兵器採用されました。
一型は150トン以上の木造船2隻による対艇式、二型は特型運貨艇2隻による対艇式、三型は150トン以上の木造船1隻による単艇式で、掃海具そのものの構成は各型とも基本的にはほとんど同じです。
( 一 型 ) | ( 二 型 ) | ( 三 型 ) |
磁桿は、長さ 800ミリ、直径 40ミリ、重量 7.9kgのマンガンクローム鋼を磁化したもので、吊下部をN (+) 極とS (−) 極に帯磁させた2種類があり、これを36本で1組 (1条) としたものが基本です。
1本の磁桿の有効範囲は、掃海速力、掃海針路とのなす角度によって異なりますが、磁力の完全なものは各方向の磁気機雷に対して次のとおりであるとされています。
a.対磁針型機雷
感度 30mガウスの場合、磁桿取り付け位置の上下 2.5m、左右 3.5m以内
b.対誘導型機雷
垂直分力を利用するもの : 磁桿取り付け位置の上下 ・ 左右共に 4.0m以内
水平分力を利用するもの :
θ | 10度以内 | 70度 | 90度 |
有効範囲 (m) | 4 | 3 | 2 |
( θ:機雷の方向と掃海針路とのなす角度 )
(1) 構成及び主要目
構成の基本的なところは次の二型とほぼ同じですが、詳細については史料が残されておらず不明です。
(2) 性能大要
対艦距離 | 2条 : 150 m、 3条 : 150〜200 m、 4条 : 200 m | |||||||||||||||||||
掃海速力 | 4〜6 ノット | |||||||||||||||||||
有効掃海幅 | 有効幅 (m) と掃海索長 (条数)、対艦距離 (m) との関係は次のとおり :
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掃海深度 | 海底摺動 |
(1) 構 成
特型運貨艇2隻で曳航する対艇式で、基本的には一組の掃海具を使用しますが、二組 (二段) 以上、あるいは任意の磁桿数を使用することが可能です。
( 左 : 一段式の基本構成 右 : 二段式とした場合の構成例 )
(2) 主要目
名 称 | 1組分員数 | ||
イ | 磁桿 | 36 | 径 40 mm 長さ 800 mm |
ロ | 磁桿吊下索 | 36 | 径 8 mm 長さ 2 m |
ハ | 掃海索 | 4 | 径 10 mm 長さ 31 m |
ニ | 二十五瓩浮標 | 3 | 浮量 25 kg |
ホ | 浮標索 | 9 | 径 8 mm 長さ 20 m |
ヘ | 転換鉄枷 | 3 | |
ト | 掃海尾索 | 3 | 鋼索 径 10 mm 長さ 100 m |
チ | 鉄枷 | 12 | 呼称 SIP9 |
リ | 曳航索 | 2 | 鋼索 径 10 mm 長さ 10 m |
ヌ | 索止 | 72 | |
ル | 鉄枷 | 4 | 呼称 SIR12 |
(3) 性能大要
対艦距離 | 90 m |
有効掃海幅 | 50 m |
掃海速力 | 2〜3 ノット |
掃海深度 | 海底摺動 |
掃海具の構成は基本的には二型と同じですが、これを150トン以上の木造船1隻にて曳航する単艇式です。 対艇式と異なり、2本の曳航索間の間隔が広く取れないことから、有効幅が小さく、結局は利用の価値は少ないと評価されています。
最終更新 : 10/Nov/2013