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二十五粍機銃弾





本弾は、九六式二十五粍機銃用のもので、形式は弾丸と薬莢とが一帯となった 「固定弾薬」 であり、下記に示すとおり大変沢山の弾種があります。 弾体は信管及び導環部分を除きそれぞれの弾種を示す識別色で塗装されています。


弾     種 弾体識別色 信    管 曳 跟 色
  通常弾 錆  色  二十五粍機銃着発信管
 一型、同改一、同改二、四型
 
  曳跟通常弾 赤  色 赤色
  曳跟通常弾改一 青色→赤色 変色
  曳跟通常弾改二 黄色
  曳跟通常弾二型 黄色
  曳跟通常弾二型改一 黄色
  曳跟弾   赤色
  曳跟弾改一 青色→赤色 変色
  曳跟弾改二 黄色
  曳跟標示弾  二十五粍機銃着発信管
 一型、同改一、同改二、四型
黄色
  焼夷通常弾 緑  色  
  焼夷通常弾改一
  徹甲弾 白色又は黒色  
  徹甲弾二型
  演習弾 黒  色


各弾種に共通的な要目等は次のとおりです。 なお、弾丸重量は弾種によって多少違いがあるようですが、詳細は不明です。


弾  種  通常弾、焼夷通常弾、
 同改一、演習弾
各種曳跟弾 徹甲弾、同二型
弾薬包全長 210 mm 220 mm
弾薬包重量 約 700 g
弾体長
(信管を除く)
91 mm 87 mm 100 mm
弾体径 24.5 mm
弾丸重量
(信管を含む)
約 250 g


 
 通常弾


本弾は、弾頭に着発信管を装着しており、物体 (目標) に当たると信管が作動して弾丸が炸裂します。


 ● 構 造


下図のとおり、頭部に着発信管を装着し、弾体内の内腔に炸薬が充填されています。



 ● 要目 ・ 性能


本弾は、撃速 250米/秒 (射距離約 3200米) にて厚さ 1ミリのジュラルミン板に直径約 280粍の破口を生じさせるとされています。

品  名 薬  種 薬  量
炸  薬  TNT   66%
 アルミ  34%
 約 15.3 g
代替炸薬  成形TNT
 テトリール

 ● 作 動


弾丸が物体 (目標) に当たると着発信管が作動して内部炸薬が轟爆し、これにより弾体が炸裂します。






 
 曳跟通常弾


本弾は、弾丸飛行中に赤色の曳跟を発しつつ飛行し、物体 (目標) に当たると弾頭に装着されている着発信管が作動して炸裂します。


 ● 構 造


頭部に着発信管を装着し、弾体内の内腔上部に炸薬が、下部に赤光薬が充填されています。


 ● 要目 ・ 性能


撃速 450米/秒 (射距離約 1300米) にて、厚さ 1ミリのジュラルミン板に直径約 200ミリの破口を生じさせるとされています。

品  名 薬  種 薬  量
炸  薬  TNT   66%
 アルミ  34%
 約20.4 g
曳跟薬等  

 ● 作 動


発砲時に発射装薬によって点火薬に点火し、次いで赤光薬に移って 5.7秒間 (約 2600米) 赤色の曳跟を発しつつ飛行します。 弾丸が物体 (目標) に当たると着発信管が作動して内部炸薬が轟爆し、これにより弾体が炸裂します。






 
 曳跟通常弾改一


本弾は、弾丸飛行中に最初は青色の、その後は赤色の曳跟を発しつつ飛行し、物体 (目標) に当たると弾頭に装着されている着発信管が作動して炸裂します。


 ● 構 造


頭部に着発信管を装着し、弾体内の内腔上部に炸薬が、下部に青及び赤光薬が充填されています。


 ● 要目 ・ 性能


曳跟通常弾と同じく、撃速 450米/秒 (射距離約 1300米) にて、厚さ 1ミリのジュラルミン板に直径約 200ミリの破口を生じさせるとされています。


 ● 作 動


発砲時に発射装薬によって点火薬に点火し、次いで青光薬に移り青色の曳跟を発しつつ飛行し、2.9秒 (射距離 1600米) 経過後に赤光薬に点じて赤色の曳跟に変わり、5.7秒 (射距離 2600米) にて曳跟が消滅します。 弾丸が物体 (目標) に当たると着発信管が作動して内部炸薬が轟爆し、これにより弾体が炸裂します。






 
 曳跟通常弾改二


本弾は、弾丸飛行中に黄色の曳跟を発しつつ飛行し、物体 (目標) に当たると弾頭に装着されている着発信管が作動して炸裂します。

 ● 構 造


頭部に着発信管を装着し、弾体内の内腔上部に炸薬が、下部に黄光薬が充填されています。


 ● 要目 ・ 性能


曳跟通常弾と同じく、撃速 450米/秒 (射距離約 1300米) にて、厚さ 1ミリのジュラルミン板に直径約 200ミリの破口を生じさせるとされています。


 ● 作 動


発砲時に発射装薬によって点火薬に点火し、次いで黄光薬に移って 4.5秒間以上黄色の曳跟を発しつつ飛行します。 弾丸が物体 (目標) に当たると着発信管が作動して内部炸薬が轟爆し、これにより弾体が炸裂します。






 
 曳跟通常弾二型、 同改一


本弾は、弾丸飛行中に黄色の曳跟を発しつつ飛行し、物体 (目標) に当たると弾頭に装着されている着発信管が作動して炸裂します。 また、本弾は自爆型であり、所定秒時を経過しても信管が作動しなかった (当たらなかった) 場合には自爆するようになっています。

 ● 構 造


頭部に着発信管を装着し、弾体内の内腔上部に炸薬が、下部に黄光薬が充填され、曳跟薬の上方は炸薬に通じています。


 ● 要目 ・ 性能


自爆距離 (自爆秒時) は、二型が約 3000〜4100米 (7〜12秒)、二型改一が約 4000〜4500米 (10〜16秒) となっています。


 ● 作 動


発砲時に発射装薬によって点火薬に点火し、次いで赤光薬に移って二型で 4.6秒間以上 (2600米以上)、二型改で約 6秒間以上 (3100米以上) 黄色の曳跟を発しつつ飛行します。 弾丸が物体 (目標) に当たると着発信管が作動して内部炸薬が轟爆し、これにより弾体が炸裂します。 当たらなかった場合には光薬燃焼後に炸薬に点火してこれを轟爆させ、これにより弾丸を自爆させます。






 
 曳跟弾、 同改一、 同改二


本弾は、弾丸飛行中に赤色、青色及び赤色 (改一) 又は黄色 (改二) の曳跟を発しつつ飛行するもので、教練射撃用として曳跟通常弾、同改一及び同改二をそれぞれ簡易化したものです。

 ● 構 造


頭部には着発信管に代わり同形状の弾頭を装着しており、また炸薬は充填されていません。 その他は曳跟通常弾と同じです。

曳跟弾 曳跟弾改一 曳跟弾改二





 
 曳跟標示弾


本弾は、対潜水艦位置表示用のものであり、弾丸飛行中に黄色の曳跟を発しつつ飛行し、海面又は物体 (目標) に当たると弾頭に装着されている着発信管が作動して炸薬に点火し炸裂し、色薬を飛散させて海面を緑色に着色します。

 ● 構 造


頭部に着発信管を装着し、弾体内の内腔上部に炸薬が、下部に黄光薬が充填されています。


 ● 要目 ・ 性能


着色視認距離は、眼高 7米の場合肉眼で約 1000米、眼鏡使用で約 3000米とされています。






 
 焼夷通常弾、 同改一


本弾は、物体 (目標) に当たると弾頭に装着されている着発信管が作動して炸薬に点火して炸裂し、これにより黄燐が火を発しつつ飛散します。

 ● 構 造


頭部に着発信管を装着し、弾体内の内腔上部に炸薬が、下部に黄燐が充填されています。



 ● 要目 ・ 性能


焼夷通常弾は、撃速 450米/秒 (射距離約 1300米) にて厚さ 1ミリのジュラルミン板に直径約 100ミリの破口を生じさせるとともに、半径約 10米の範囲まで黄燐にて着火させるとされています。

品  名 薬  種 薬  量
炸  薬  TNT   66%
 アルミ  34% 
約 5.7 g
焼夷薬  黄 燐 約 13 g 


焼夷通常弾改一は、黄燐の量を増やして焼夷性を増大させた他は焼夷通常弾と同じとされていますが、その詳細は判りません。






 
 徹甲弾


本弾は、鋼板に対する貫徹威力が大きいことを特徴とするもので、弾頭着発信管は付いていません。 また、光薬により弾丸飛行中に赤色の曳跟を発しつつ飛行します。


 ● 構 造


弾体内の内腔上部に特填物としてベンガラが、下部には黄光薬が充填されています。

要目 ・ 性能

撃速 450米/秒 (射距離約 1300米) にて、撃角 30度で厚さ 25ミリのSD鋼板を貫通するとされています。

品  名 薬  種 薬  量
特填物  ベンガラ  約 3.5 g
曳跟薬    約 8.65 g





 
 徹甲弾二型


本弾は、上記の徹甲弾を改良したもので、鋼板に対する貫徹威力を増大させたものです。

 ● 構 造


弾頭部に風帽を装着し、また徹甲弾にあった弾体内腔上部の特填物 (ベンガラ) を廃止しています。 弾体下部の内腔には黄光薬が充填されています。


 ● 要目 ・ 性能


撃速 450米/秒 (射距離約 1300米) にて、撃角 70度で厚さ 20ミリのSD鋼板を貫通するとされています。






 

 演習弾



本弾は、教練射撃において使用するものです。

 ● 構 造


弾体は2つに分かれており、上部は信管形状に模したものを弾体下部にネジ入れてあり、弾体内腔は中空となっています。








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最終更新 : 04/Jan/2009