Home へ 砲術講堂目次へ 旧海軍の砲術目次へ ← 戻る


嚢二号撃発火管



嚢二号撃発火管は、発火装置打針の打撃により発火する薬嚢砲用の火管で、次の種類があります。


種   類 兵器採用年月 使   用   砲   種
 嚢二号撃発火管三型  大正10年9月  四十五口径三年式四十糎砲
 四十五口径毘式、同四一式三十六糎砲
 五十口径三年式二号二十糎砲
 五十口径三年式二十糎砲
 十五糎五砲
 五十口径毘式、同四一式十五糎砲
 五十口径三年式十四糎砲
 五十口径三年式十二糎七砲
 嚢二型撃発火管四型  昭和17年10月  九四式四十糎砲
 四十五口径三年式四十糎砲
 四十五口径毘式、同四一式三十六糎砲
 五十口径三年式二号二十糎砲
 五十口径三年式二十糎砲
 十五糎五砲
 五十口径毘式、同四一式十五糎砲
 五十口径三年式十四糎砲
 五十口径三年式十二糎七砲





 

 嚢二号撃発火管三型

  ● 構 造


管体、瓦斯止、複管体、黒色火薬等で構成されています。


1.管体は上部に黒色圧搾薬及び黒色細粒火薬を内蔵し、その口部を羊皮紙、寒冷紗セルラックで閉塞しており、中部には瓦斯止があり、管底には複管体がネジ入れられ、底部は径が拡がった鍔となっています。

2.瓦斯止は瓦斯止室に挿入され、その上部は瓦斯受けとして皿状になっており、また周囲には火道として3本の縦溝があります。 そしてその底部は円錐形となっており、瓦斯止室下端の鍔部と密着して高圧ガスの後噴を防止するようになっています。

3.複管体は管体底部よりネジ入れられ、内部は砧子、同留螺、雷管で構成されています。



   


  ● 要 目


品  名 薬  種 薬  量
雷 管   発薬(三昧)  0.04〜0.045 g  
伝火薬   黒色細粒薬  0.25 g
伝火薬   黒色圧搾薬  3.25±0.02 g


  ● 作 動


次の順序で作動します。


1.尾栓の火管室に装入し、打針により雷管を打撃することによりその衝撃力により雷管が発火する。

2.その火勢は瓦斯止を押し上げて周囲の3本の火道から黒色細粒火薬及び黒色圧搾薬に点火し、口蓋を破って長さ1米60糎以上の火焔となって噴出します。

3.一旦押し上げられた瓦斯止は、火薬ガスの高圧を上部の皿上部に受けて再び後退し、瓦斯止室に密着してガスの後噴を防ぎます。




 

 嚢二号電気火管四型


この火管は、嚢二号電気火管三型を改造したもので、その相違点は次のとおりです。


1.ガス止をキノコ状にしてガス止座に勾配をつけています。 これにより、筒圧を受けるとガス止は降下してガス止座に密着して装薬ガスが後へ噴出するのを防ぎます。

2.管体前端外周に5本の抑気溝を設けることにより、管体外周に装薬ガスが侵入するのを防止します。

3.黒色火薬を圧搾充填して薬量を増大することにより、伝火能力を大きくしています。



  ● 構 造




  ● 要 目


品  名 薬  種 薬  量
雷 管   発薬(三昧)  0.04〜0.05 g 
伝火薬   黒色細粒薬  約 0.23 g
伝火薬   黒色圧搾薬  





「信管・火管」メニューへ 頁トップへ

 最終更新 : 04/Jan/2015