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八九式尖鋭高射信管 |
八九式尖鋭高射信管は燃焼式弾頭時限信管で、陸軍の兵器を採用したものです。
種 類 | 兵器採用年月 | 使 用 弾 種 |
八九式尖鋭高射信管 | 昭和12年6月 | 八糎砲 三号通常弾 七糎野戦高射砲 通常弾 十二糎七砲 照明弾甲 十五糎砲、十四糎砲 海上煙弾 |
● 概 説
火薬燃焼秒時の誤差を小さくするために4個の薬盤を設けており、秒時の調定は火導薬の燃焼距離を調節し、これの燃焼秒時を調定秒時とするものです。
● 要 目
知られている要目は、次のとおりです。
目盛分割 : 0 〜 30 秒
品 名 | 薬 種 | 薬 量 |
雷 管 | 発薬(三味) 黒色細粒薬 |
0.05 g 0.15 g |
火 導 薬 | 三号火導薬 | |
伝 火 薬 | 黒色小粒薬 |
● 構 造
管頭、第一 〜 第四薬盤、管体、塞底、薬盤廻子、撃針、雷管、雷管発條、火導薬等で構成されます。
( 旧海軍史料より )
( 戦後の米海軍史料より )
1.各薬盤の下方には火導薬を巡らし、その方向は第一及び第三薬盤と第二及び第四薬盤とは互いに反対となっています。
2.第一薬盤と第三薬盤は管体中央の凸部に嵌合しており、回転しません。
3.第二薬盤と第四薬盤は外側が薬盤廻子に結合しており、これを回転すれば両薬盤も回転します。 第四薬盤外周には0から30までの目盛りが刻まれており、更にこれを5等分して1分画が0.2秒に相当するようになっています。
● 作 動
次の順序で作動します。
1.信管を弾頭に装着し、信管目盛加減器により薬盤廻子を回転することにより第二薬盤及び第四薬盤が回転し、第一薬盤及び第三薬盤、並びに信管体の各火道に対して一定の角度(調定秒時)が与えられます。
2.発砲すると慣性により雷管が雷管発條を圧縮しつつ後退し、撃針に撃突して発火します。
3.その火勢は管体内の火道を経て第一薬盤の火道薬に移り、調定秒時に応じて第二薬盤、第三薬盤、そして第四薬盤の各火道薬に延焼します。
4.その火勢は管体の火道薬に移って塞底より噴出し、伝火筒を経て炸薬に点火しこれを轟発させます。
最終更新 : 13/Jan/2015