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八八式信管



八八式信管は、昭和4年に内令兵37号により兵器採用された口径12〜10糎砲通常弾用の弾頭着発信管です。 そして、昭和18年には大口径砲用の零式通常弾にも用いられました。


種   類 兵器採用年月 使   用   砲   種
 八八式信管  昭和 4年 1月  五十口径十二糎七砲通常弾
 四十口径十二糎七高角砲通常弾
 四十五口径十二糎高角砲通常弾
 四十五口径十二糎砲四号通常弾
 九八式十糎高角砲通常弾
 五十口径十糎高角砲通常弾
 八八式信管改一  昭和16年 7月  同  上
 八八式信管二型  昭和18年 2月  次の他、同上
 九四式四十糎砲零式通常弾
 四十糎砲零式通常弾
 三十六糎砲零式通常弾
 八八式信管三型  昭和20年 2月  
 八八式信管四型  


 

 八八式信管


  要 目


知られている要目は、次のとおりです。


   全長            : 140 mm

   本体長(管帽を除く)  :  78 mm

   最大径          :  57 mm

   全重            : 928 g ±1.5%



品  名 薬  種 薬  量
雷  管  雷こう   1.4〜1.5 g
管 帽 薬  下瀬火薬  16 g


  構 造


   


管体、管帽、管頭、衝帽、撃針、遠心子、安全栓、安全栓発條、安全留針、雷管、管帽薬などで構成されます。


1.撃針はその下方が雷管激突に便利なように尖鋭となっており、また中央部に鍔を有し遠心子の拘扼部となっています。

2.遠心子 (5個) はその一方を軸が貫き、腕部をもって隣接遠心子の脚部を押さえるように結合され、撃針の鍔部を扼止しています。

3.安全栓は安全栓発條内に収納され、頭部は第一遠心子の外側に位置し、その開放を扼止しています。

4.安全栓発條はその下部に4本の爪型発條を有する円筒で、内部に安全栓を収めています。

5.安全留針は安全栓最下部の円孔に挿入されており、安全栓の不時の効果を防止します。



  作 動


次の順序で作動します。


1.安全留針を抜いて弾頭に装着する。

2.発砲すると慣性により安全栓は同発條を圧開して降下し、下方の段部は安全栓発條の爪に阻止されて上昇することができず、遠心子に対する扼止を解く。

3.弾丸の旋転力により遠心子は順次開放され、撃針の鍔部に対する扼止を解く。

4.弾丸が着達すると、慣性により撃針は雷管に撃突して発火させ、その火勢は管帽薬に点火して炸薬を轟発させ、これにより弾丸を炸裂させる。







 

 八八式信管改一


  概 要


昭和十六年に内令兵95号により兵器採用されたもので、八八式信管より管帽薬の薬量が若干増加されたものとされています。



  要 目


次の他は八八式信管と同じです。


品  名 薬  種 薬  量
雷  管  発薬(三味)
 窒化鉛
 テトリール
 0.1 g
 0.1 g
 0.1 g
管 帽 薬  下瀬火薬  20 g






 

 八八式信管二型


  概 要


八八式信管を大量生産に適するように簡易化すると共に、合わせて防湿性の向上を期すべく改造されたものです。



  要 目


次の他は八八式信管と同じです。


品  名 薬  種 薬  量
雷  管  発薬(三味)
 窒化鉛
 テトリール
 0.1 g
 0.1 g
 0.1 g
補  薬  テトリール  1.0 g
管 帽 薬  下瀬火薬  21 g


  構 造


   


八八式信管との相違点は次のとおりです。

1.安全栓の代わりに2回捲きの遠心子発條を用いる。

2.安全留針及び同挿入孔を廃止する。

3.遠心子は弾丸旋転力 3000 回/分にては不開、5000 回/分にて開放する。



  作 動


次の順序で作動します。


1.信管を弾頭に装着して発砲する。

2.飛行中に弾丸旋転力により遠心子は遠心子発條を圧開して順次開放し、撃針の鍔部に対する扼止を解く。

3.弾丸が着達すると、撃針は雷管を発火させて管帽薬に点火し、炸薬を轟発させることにより弾丸を炸裂させる。







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 最終更新 : 04/Jan/2015