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二十五粍機銃着発信管 |
本信管は、その名のとおり九六式二十五粍機銃の弾薬包用であり、通常弾等の着発弾頭信管として開発、使用されたものですが、後に五式四十粍機銃の弾薬包用としても使用されました。
本信管には、次の種類があります。
種 類 | 兵器採用年月 | 使 用 弾 種 |
二十五粍機銃着発信管一型 | 昭和12年6月 | 二十五粍機銃通常弾、曳跟通常弾、同改一、 同改二、同二型、同二型改一、曳跟標示弾、 焼夷通常弾、同改一 五式四十粍機銃焼夷通常弾、曳跟通常弾 |
同 改一 | ||
同 改二 | ||
二十五粍機銃着発信管四型 |
なお、一般的にその感度は極めて鋭敏で、発砲後に大粒の雨、あるいは木の葉などに当たっても作動することがあると言われています。
● 構 造
管体、管帽、管頭、撃針、遠心子、遠心子発條、安全板、補薬、管帽薬等で構成されています。
1.管体上部に管頭をネジ入れ、中央部の横に室を設けて内に遠心子及び同発條を収容し、塞螺を取り付けて閉鎖し、また下面内部には安全板室を収めて管帽をネジ入れています。
2.管頭は内部に撃針が収められ、その撃針の頭部を保持しており、上部は頭蓋(銅)をもって “かしめ” 取り付けによってこれを閉鎖しています。
3.撃針は、上半部がジュラルミン製、下半部が鉄製で、下方の鍔が遠心子の拘扼部となっています。
4.遠心子は一側に切り掛け部を設け、また他の一側は凹状となって発條受けとなっており、遠心子発條が常に遠心子を内方に圧するようになっています。
5.安全板室は底部中央に火道となる小孔があり、また底部側方には2本の軸があり、1つが安全板軸、もう一つが安全板制限止です。
6.安全板は安全板軸に嵌っており、一側に横穴があって発條及び発條帽が収められています。 安全板は常に発條の力により中央に圧せられて安全板室火道を閉鎖しています。
● 要 目
知られている要目は、次のとおりです。
全 長 : 49 mm
本体長(管帽を除く) : 36.5 mm
最大径 : 19 mm
重 量 : 43 g
品 名 | 薬 種 | 薬 量 |
雷 管 | 発薬(三味) | 約 0.06 g |
補 薬 | 窒化釦 | 約 0.1 g |
管 帽 薬 | テトリール | 約 0.7 g |
● 作 動
次の順序で作動します。
1.発砲時の慣性に対して遠心子が撃針を支えてその降下を防止します
2.弾丸の旋転力が 10000〜20000 回転/分に達すると安全板は同発條を圧縮して火道を開きます。 また旋転力が 15000〜2000 回転/分に達すると遠心子が同発條を圧縮して撃針に対する拘捉を解きます。
3.信管の頭が物 (目標) に衝突すると撃針は後退して雷管を叩いて発火させ、点火補薬及び管帽薬を経て弾丸の炸薬に点火し炸裂させます。
4.“突込弾” ( = 装填不良により正常に機銃の薬室に装填されない) となった場合は、撃針は遠心子により拘扼されているので雷管を叩くことはありません。 万が一雷管を叩いて発火させたとしても、安全板によって火道が閉鎖されているので補薬及び管帽薬に点火することはありません。 つまり正常に発射されない場合は2重の安全策によって銃身内などで弾丸が炸裂しないようになっています。
この信管は、旧海軍の史料には記載がありませんが、終戦直後の米海軍史料の中に出てきますのでご説明しておきます。
● 構 造
構造図を見る限りでは、一型改一は一型とほとんど同じですが、一型改二は管帽薬の内容が異なっています。 詳細な改良点及び改良目的は不明です。
● 要 目
品 名 | 改 一 | 改 二 | ||
薬 種 | 薬 量 | 薬 種 | 薬 量 | |
雷 管 | 発薬(三味) | 約 0.06 g | 発薬(三味) | 約 0.06 g |
補 薬 | 窒化釦 | 約 0.16 g | 窒化釦 | 約 0.16 g |
管 帽 薬 | テトリール | 約 0.70 g | 発薬(三味) 窒化釦 テトリール |
約 0.06 g 約 0.09 g 約 0.82 g |
四型は、一型の構造を簡易化して量産化を図ったもので、改良点は次の2点です。
1. 安全板、同室、及び補薬の廃止
2. 管体の長さを短縮
● 構 造
● 要 目
知られている要目は、次のとおりです。
本体長(管帽を除く) : 30 mm
最大径 : 19 mm
品 名 | 薬 種 | 薬 量 |
雷 管 | 発薬(三味) | 約 0.06 g |
管 帽 薬 | 窒化釦 テトリール |
約 0.82 g 約 0.09 g |
最終更新 : 04/Jan/2009