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十年式高射曳火信管



十年式高射曳火信管は燃焼式弾頭時限信管で、陸軍の兵器を採用したものです。


種   類 兵器採用年月 使   用   弾   種   
 十年式高射曳火信管  昭和12年8月  十五糎砲 照明弾甲
 十四糎砲 照明弾甲
 十二糎高角砲 照明弾甲
 十二糎砲 照明弾甲
 八糎砲 榴霰弾
 八糎砲 目標弾



 

 十年式高射曳火信管

  ● 構 造


管頭、管体、大薬盤、中薬盤、小薬盤、塞底、火導薬、塞底薬等で構成されます。


  


1.管体は頭部に管頭がネジ入れられ、また底部は塞底薬を充填して塞底で閉塞されています。

2.管体の内部には、撃針、雷管支耳などを収蔵し、小薬盤の火導薬に通じる火道が開けられています。

3.管体の外部には指標が刻まれ、大薬盤の目盛と対向しています。

4.雷管は支耳によって支えられ、不時の降下を防止しています。

5.管頭は管体頭部にネジ入れられ、2個の皿状発條を介して大、中、小薬盤を適当に圧しており、中央頭部には小穴が開けられて頭蓋により閉塞されています。

6.大、中、小薬盤にはそれぞれ裏面に火導薬が巡らされ、その方向は大及び小薬盤と中薬盤とは反対方向となっています。 大薬盤の外周には0から32秒までの信管分画が刻まれて更にこれを5等分し、1分画は0.2秒に相当することになります。

7.大薬盤と小薬盤は外部から薬盤廻子により連結され、これを回転すれば2個の薬盤も回転します。

8.各薬盤には1ヵ所上方より小穴が開けられており、それぞれの火道となっています。



  ● 作 動


次の順序で作動します。


1.信管を弾頭に装着し、信管目盛加減器により薬盤廻子を回転して所要の目盛を指標に合わせます。

2.小薬盤と大薬盤は調定分画に応じて回転し、中薬盤及び管体の火道に対し所定の角度(調定秒時)が与えられます。

3.発砲すると、慣性により雷管は支耳を圧縮しつつ後退し、撃針に撃突発火します。

4.雷管の火勢は管体火道を経て小薬盤火導薬に移り、調定秒時に応じて中薬盤火導薬、大薬盤火導薬に延焼し、管体火導薬を経て塞底薬を発火させます。







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 最終更新 : 11/Jan/2015