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五年式弾頭信管



五年式弾頭信管は、口径14〜8糎砲砲弾用の弾頭着発信管です。


種   類 兵器採用年月 使   用   砲   種
 五年式弾頭信管  大正 7年11月  四十口径十四糎砲 通常弾
 十二糎砲 三号通常弾、 同改一
 八糎砲 三号通常弾
 五年式弾頭信管改一  昭和 7年 1月  同  上
 五年式弾頭信管改三  昭和16年12月  同  上


なお、大正7年に兵器採用された最初のモデルについては詳細は判りません。 また USTMTJ O-17 では昭和11年に 「改二」 が採用されたとの記載がありますが、日本側の公式文書類で確認ができませんので、ここでは取り上げていません。



 

 五年式弾頭信管改一


  概 要


本信管は五年式弾頭信管を改良したもので、取扱上の安全及び発火率を向上させたものです。



  要 目


知られている要目は、次のとおりです。


   全長            : 130 mm

   本体長(管帽を除く)  :  49 mm

   最大径          :  44.5 mm

   全重            : 463 g ±1.5%



品  名 薬  種 薬  量
第一雷管  発薬(三味)
 鉛アザイト
 テトリール 
 0.1 g
 0.05 g
 0.7 g
第二雷管  雷こう  1.35〜1.4 g  
管 帽 薬  下瀬火薬  20.0 g


  構 造


   




1.安全発火機構
管体頂部に位置し、管頭、第一撃針、撃針座、第一撃針筒、撃針座留螺、管頭留螺子、安全留針で構成されます。

2.延時発火機構
管体中央部に位置し、管体、螺筒、支筒、支筒留栓、第二撃針、第二撃針筒、第二撃針軸、第一雷管、第二雷管、雷管室蓋で構成されます。

3.伝火機構
管体下部に位置し、管帽、紙筒、管帽薬で構成されます。



  作 動


次の順序で作動します。


1.安全留針を抜いて弾頭に装着し、発砲する。

2.発砲時の衝撃により支筒が支筒留栓を切断して後退し、第二撃針筒の制限を解く。

3.弾丸が着達すると管頭が押し潰されて第一撃針筒及び第1撃針は撃針座(銅)を屈曲して後退し、同時に第二撃針筒前進して第一雷管が発火する。

4.第一雷管の火勢により第二撃針が後退して第二雷管を発火させ、その火勢により管帽薬を轟発させる。







 

 五年式弾頭信管改三


  改一との相違点


次により、第一雷管の火勢は直ちに第二雷管に移り、その火勢は補薬を経て管帽薬を轟発させます。


1.撃針を1個とする。

2.第二雷管下方に補薬 (テトリール) を装着する。



   


  要 目


次の他は改一と同じです。


品  名 薬  種 薬  量
第一雷管  塩素酸カリ     40%
 三硫化アンチモン 60% 
 約 0.06 g
第二雷管  テトリール  約 0.1 g
補  薬  テトリール  約 0.1 g
管 帽 薬  下瀬火薬  20.0 g






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 最終更新 : 04/Jan/2015