書籍名 :『連合艦隊の生涯』 著(編)者 : 堀 元美(付録:阿部安雄) 出版社 : 朝日ソノラマ 出版日 : 昭和57年 全頁数 : A5判 344頁 ISBN : 4-257-03160-3 |
● 書籍解説
本書は、元海軍技術中佐で戦後は民間造船所などで自衛艦の設計などに携わった故堀 元美氏の手になるものです。
内容は、第1章で連合艦隊の生い立ちを約40頁、第2章及び第3章でミッドウェー海戦までとそれ以降の太平洋海戦史をそれぞれ約90頁と約100頁、最後の第4章で、鎮守府等の用語解説に約30頁、そして付録として阿部安雄氏の手になる艦型主要目と各艦艦歴を纏めた「日本海軍主要艦艇一覧表」なるものが約70頁の構成となっています。
私にははっきり言って故堀元美氏の著作、出版意図がよく解りません。 『連合艦隊の生涯』と題しながら、内容的には非常に中途半端です。 昭和30年代前半頃ならばともかく、昭和57年にもなって元海軍技術中佐(造船)の経歴の方がこのようなものを書いても、もう一般に受け入れられるような時代ではないことは明らかです。 しかもその技術中佐らしい技術的な話は全く出てこないのでは、ほとんど価値を見出すことは不可能と言っても過言ではないでしょう。
しかも、付録に全頁の1/5以上を費やしながら、これまた内容的に中途半端なものでほとんど役に立つようなものではありません。 このような付録を入れるくらいなら、本文をもっと充実できたのではないかと思いますが・・・・
本書はその後、朝日ソノラマ文庫、最近では学研M文庫の一冊として再販されているようですが、この程度の内容の本に価値を見いだす艦艇研究家の方はおられるとは思いません。 私も最近になってたまたま地方の場末の古本屋に合ったのを見つけて、“えっ、堀氏はこんな本も出していたの?”と言うことで購入しましたが、単に本棚の隅に“記念”として並んでいるだけです。